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狼のーかの花嫁(15)

サイトお引越ししました。(→織座舎新サイト
いろいろご不便をおかけしてすみません。
この後のお話は「陛下の花園 二の宮」でノンビリ更新を続けてゆきたいと思います。ご訪問お待ち申し上げております。


---

引き続き、マッドサイエンティスト老子と夕鈴のシーンからどうぞ。
あの人も出てくるし…。

ファンタジーです。捏造設定の塊です。まるっと飲み込んで、生暖かく見守ってください。
無理なさいませんよう…。

【現パラ】【ファンタジー】【カボチャ】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(15)
* * * * * * *

「よーするに。
この大きなカボチャのタネはな~

陛下とお前さんの
愛の結晶じゃぁあ~~♪
でかしたぞぉ~♪」

張老子の衝撃的な言葉に、床に崩れ落ちる夕鈴。
「よ、嫁入り前の娘に、なんてことを…」とつぶやきながら引き付けを起こしたように身悶えた。暫くしてようやく体を引き起こしノロノロと老子の方を振り返る。

夕鈴は『二人の間には何もない』ことを釈明しようと立ち上がった。
「――冗談は…」
「これは冗談ではないのじゃっ!」老子はすかさず夕鈴の口を封じた。

老子は種の入ったビンを夕鈴の鼻先につきつけ、彼女に説明を始めた。

「まあ、ちょいと落ち着いて話を聴かんかい。
これは、あの御方にとって、実に貴重なタネなんじゃ。恐らくは。」

「はあ…。」
恐らくは、という言葉に、少々腑に落ちない感は否めないが、夕鈴は老子の向かい側の席に座りなおした。

「魔力というのは人の世の理を全く無視したエネルギーでな。
非常に便利じゃが、もろ刃の剣ともいえるのじゃ」

「もろ刃の剣?」

「そう。善なる心で使えば益もある。じゃが、悪の心で用いれば闇に染まる。そして大いなる力を持つな魔法使いはこの闇の魅力に心奪われやすいのじゃ…」

「闇の魅力?」

「そう。この世の全てを統べる大いなる力はことごとく心の負の面を引き出しやすい。
…かつて絶大な魔力を得た者の中には、闇に染まり人々を恐怖に陥れたものも多い。
現代のようにだれもが豊かになり、魔法教育も整った環境であっても時に闇落ちするものが生まれるが、その数は少ない。じゃが、昔はそうではなかったのじゃ。
大いなる魔力を持ったものはほぼ皆、野心に心を乗っ取られ闇に落ちたのじゃ。

その昔、人々を脅かす魔の存在に対抗できるのは、修行を積んだドルイドだけじゃった。
魔封じのランタンカボチャは、魔法使いの持つ魔力を吸いつくし封印する恐ろしいカボチャじゃ。いにしえのドルイドは、この魔を封じ込める力を持つカボチャを見つけだし、魔封じに用いたものじゃった」

「はぁ。それが、この地域に集められてる、あのカボチャ、なんですね?
でもどうして、魔法使いの里で、魔法使いの一番苦手なカボチャを育ててるのか…よく分かりません」

「そうじゃろうな。実はあのランタンカボチャは、最初はふつーのカボチャの中から突然生まれる。夜光りはじめるころに魔封じのカボチャと気が付いても、もう魔法使いの手におえないのじゃ。それで全世界中に我々の隠密をとばし、早期のうちに魔封じカボチャの苗を速やかに回収しこの地で保護しておるのじゃ。あともう一つ理由もある…」

「理由?」

「――ここで育てた魔封じカボチャは、めっぽう美味いんじゃ」

「はあ?」

「もちろん市場で高値が付くが、通常市場には出回らんほどじゃ。
なんといってもここで採れる白陽かぼちゃといえば三ツ星レストランのシェフや世界最高峰のホテルなどから注文が引っ張りだこで、空輸して世界各国に送られんじゃ!」
老子は嬉しそうにニシシと笑った。

「なるほど!」
確かに、あのカボチャたちはみんな福々として立派だった。危険もあるが、その分さぞかし美味しいのだろうと夕鈴は深く納得した。

「…で、それがあの魔封じのカボチャだというのは良く分かりました。
それで、陛下が欲しがっているカボチャっていうのは?」

「魔法カボチャはもっとレアなんじゃ」

「レア!?」

「魔法、というのはそもそも形がない。封じ込めて器に入れておくことができないんじゃ」

「はあ?」夕鈴にはピンとこない。

「魔法の電池みたいなもんがあれば、ヘタッピの魔法使いでも、何でもしでかせるのじゃろうが、魔法の力というのはそういうものではないんじゃよ」

「なるほど」夕鈴は納得した。

「収穫祭で行われる陛下21歳の公開評議じゃが…」
夕鈴は、張老子の話がいよいよ陛下のことに…と思い、ピシッと背中を正した。
「国王、王位継承権の持つ者が21歳になるで行われる儀式じゃ」

「王様にふさわしい魔力の持ち主かどうかを試す儀式、ってことですね?」

「平たく言えばそういうことじゃな」

「正当な王には、魔法カボチャが天からくだされる…。そういうことになっておってな。
どこから手に入れたのかは歴代の王の秘中の秘とされ、魔法カボチャを手にした王以外、誰も知らんのじゃ」

「だから魔法カボチャがレアって。…でも、王様自身が手に入れ方を知らないというのなら、実際手に入らないってことはないんですか?」

「…まあ、中には魔法カボチャが手に入らず、偽物で儀式にのぞみ、こてんぱんに評議会にやられる者もおったものじゃが…。そういう者は王位につけぬか或いはその治世は長くは続かなんだ」

「…なるほど。その儀式って、どんな内容なんですか?」

「最初に三人の評議員が一人ずつ、形、色艶、大きさをで対決するのじゃ。
まずは形。防御力と、その所有者の魔力の質、つまり善なる魔法か闇の魔法かをはかる大事なパラメーターじゃ。堂々とした型のよいカボチャは善なる魔法使いである証、心が闇に染まった魔法使いのカボチャは、いびつな醜い形に育つといわれておる。
色ツヤは魔法の影響力。同じ魔力でも効き目のあるなしが分かれるのがここじゃ。いわゆる攻撃力、じゃな。
そしてなんといっても大きさじゃ――これは…」

「大きさがヒットポイント。つまりトータルの体力のようなもので、
形が防御力、色艶が攻撃力、ということですね?」

「…ほう、お前さん、なかなかのみ込みが良いのう」

夕鈴はニコっとした。夕鈴自身はゲームなどはやらないが(そんな時間があったら勤労につぎ込んでいた)小学校の頃は男子(主に几鍔の周りの男グループ)が相当やりこんでいて、暇さえあればそんな話をしていたのを耳にしたものだった。
当時はいつも『くっだらない、あんたたちそんな暇あったら宿題でもしなさいよ』とわめいていたものだが…。

「それで、三人の評議員さんとの対決に、勝てばいいわけですね?」

「そうであればまだよいのじゃが。それはまだ前哨戦、その後が本番じゃよ」

「本番?」

「つまり、こんどは評議員の用意した退魔カボチャでの攻撃を受けるんじゃ」

「…退魔カボチャ?」
夕鈴はポカンとした。

「いまある畑中の全部の退魔カボチャ対陛下お一人の魔法戦じゃ」

「――えっ?」

「この地にある全ての退魔カボチャを封じられるだけのお力がなければ、国王たる資質は認められん」

「…って。それって、すごく危ないことなんじゃ…だって。退魔カボチャ一つだって、魔法使いにとっては致命的な天敵なんでしょ?
それを、地平線までどこもかしこも広がるあのカボチャと戦うって――
敗けたらどうするんですか!?
陛下も死んじゃうってこと?…後宮に奥さんいっぱいより悪いじゃないですかっ!」

「そのための魔カボチャ、じゃよ」

「じゃ、魔カボチャを陛下もたくさん用意しないとだめなんじゃ――」

「いや、魔カボチャは1つでよいのじゃ」
平然と老子はうそぶくが、夕鈴は興奮してバンと机をたたいた。

「なんで?
たった一つでどうしろって…」

夕鈴は陛下が心配で蒼白になった。

「本来魔法は器に入れることはできん。
だが、魔カボチャにだけは所有者の魔力を貯めることができるんじゃ。
更には魔法使い自身の持つ器量によっては蓄えたその力を何倍、何十倍、何百倍、いやそれ以上に増幅するという…持つ者によっては、ま~さ~に無敵!
それはそれは、ものスゴーいレアなアイテムなんじゃっ!!」

老子はビンをもう一度振り上げて、ニヤリと笑った。

* * * * * * *

「――とにかく。早くこれを育てねば…
もう、日が無いんじゃ!」

「…でも、あと9日って?
そんなんで、本当に陛下の欲しがってるスゴイ魔カボチャって
できるんですか~?」

「それは、お前さんと、陛下ご自身が
考えることじゃっ!!
とにかく頑張らんかい、バイト娘!!」

ポイっと小屋から送り出された夕鈴はキョトンとした。

小屋に来るときは、ずいぶんと歩いた末、トラックで延々走った気がするが、今外に出されてみれば白亜の殿堂、白陽ビルの目と鼻の先だった。

夕鈴は小瓶に入れて貰ったものを大事に握りしめ、ビルのエントランスに向かう階段を見上げてぼんやり立ちすくんでしまった。

勢い余って飛び出してしまった手前、少々バツが悪い。

夕鈴は『やっぱり…陛下に会わせる顔がない』と踵を返し、クルリと背を向け歩き出したとたん背後不注意で、後ろにいた人にまともにぶつかってしまった。

『しまった!』と思った時には
もう、そのぶ厚い胸板にまともに顔から突っ込んでいた。

太陽の匂いのする作業服。大柄な相手は、倒れかけた夕鈴を「おいおい、大丈夫かい」と両腕を掴んで助けた。
したたかにぶつけた鼻柱を「いたたた…」と押さえながら夕鈴は相手を見上げた。

浅黒い肌に、ザンバラな黒髪を後ろで一つに束ねた作業着の大男。
腕をつかんでいる手は大きくて、熊の掌のよう。

「ぎゃっ、ふ、ふ、ふみまひぇんっ(すみません)!!!」
と夕鈴は1,2歩あとじさる。

「おいおい娘さん、よそ見してると危ないぜ?」
人のよさそうな笑顔でニカっと笑ったあと、「ん?」と夕鈴の額をまじまじと見つめた。

(あっ、そうだった!…陛下の印がおでこに)
夕鈴はあわてて額も手で隠した。鼻と額、隠すところばかりで両手がふさがった。
その手には、大きなタネの入ったビン。

「娘さん。なんだか面白いもん、持ってるなぁー。
…えっと。ビルに用事があるのかい?」

「いや、ちょっと用があるっていうか…その、あったんだけど。
やっぱり、出直そうかって――」

夕鈴があわあわしているのを見て、その男は気の毒に思ったのか

「…まあ、落ち着きなって、娘さん。
そりゃさぞ大事な用事なんだろうな。
こんなところにあんたみたいな娘さん一人で、気後れするのも良く分かるが、なんなら、案内についていってやろうか?」

男が、夕鈴をなだめる為にポンポンと軽く方に手をかけた。
その時、背後から声がした。

「…その手を離せ、徐、克右!」

「――へ?」

*

サイト移転しました。
続きは引き続き「陛下の花園 二の宮」にてお楽しみください。


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秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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