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狼のーかの花嫁(14)

マッドサイエンティスト老子、夕鈴、でっかいカボチャのタネ。

【現パラ】【ファンタジー】【カボチャ】
もう 何でも恋のかたと なんでも来いの方、どうぞ。

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(14)
* * * * * * *

張老子が、きつく蓋をしたガラス瓶をそっと振って、目の前にかざすと
中味はカラン、と乾いた音をたてて裏返った。

「お主の、カボチャのタネじゃ」

「――わたしのタネ?
カボチャって、あの、ちょ、ちょっと待ってくださいっ!
私だってカボチャのタネくらい知ってますってば!
もっと、爪くらいの大きさだったと思います。
友達の明玉が『スタイルが良くなって美容に好い』っていうので、近所から種ばっかりかき集めて、煎ってひたすら食べた夏がありました」

老子の手にあるビンを改めて注視して、夕鈴は首をひねった。

平べったい卵型
片方が少しとがっている。
滑らかな表面や色形をみても
言われてみれば確かにカボチャのタネの面影は、ある。

ただ、カボチャにしては、見たことないほど、大きい。
大きすぎる。

異常にデカイ。
というかむしろ嘘くさい。

「…たしかに、私の握った掌の中から出てきたんですよ。
…こんなに大きかったかしら?」
夕鈴はまじまじ今更ながらに思った。

「じゃが、確かに、お前さんの掌の中から、出てきたんじゃろ?」

夕鈴はコクン、と頷いた。

「…もう少し、詳しく聞かせてくれんか?」
老子は、机の上にビンを注意深く置くと、ノートとペンを取り出し、

夕鈴はなにやら難しい顔をして、その後赤面した。

「…嫌なら、無理に話せとは言わん。
じゃが。わしの勘じゃがの。
…もしかするとこれは、大変貴重なタネなのかもしれん。
だとすればこれは、陛下のお役にたつ、万にも一つのチャンスかもしれんぞ?」

「――陛下の。
お役に立つんですか?」

「いや、それは話を聴いてみなけりゃ、わからん。
今、この種をみてふとよぎった
単なる老人の勘、じゃ」

夕鈴はそれを聞いて、一人でブツブツ言いながらイヤイヤしたり、さんざん百面相をした後、ペチペチと自分の頬を両手で叩き、吹っ切れた表情をみせた。

「…もし、万に一つでも、陛下のお役にたつ可能性があるかもしれない、というのなら…お話しします」

(…仕方がない)と夕鈴は思った。

夕鈴はあの人と約束をしたのだ。
そして現実的には高額バイトの前借までしている。

何より彼女自身が、あの優しい人を助けたいと願っていた。

老子がこの大きなカボチャのタネを見て
「万にも一つのチャンス」というのなら、老子は何かひらめいたに違いない。

どちらにせよ、畑のカボチャは危なくて触れないと言われ
あの中に陛下の欲しがっているカボチャがあるとも思えない。
なんとか解決の糸口をたどらねば――。


夕鈴は重い口を開いて話し始めた。
老子は、ノートのページをめくり、まっさらなページを開くと、さっそく記録を取り始めた。

「さて。お主はこれを、いつ、どこで手に入れたんじゃ?」

「今朝、私の手の中から出てきました」

「手の中から出てくる前は? いつ、これを拾ったんじゃ?」

「覚えてません。眼が覚めたときにはすでに左手がグーになってて、どうしても指が強張って開かなかったんです」

「では、昨晩。寝る前に何かあったんじゃな?」

「昨晩…」

夕鈴は両手で膝頭を握りしめるとカッと豹変し、恐ろしい形相で老子を睨んだ。

「~~っ!」

老子はぎょっとして、恐る恐る
「いいんじゃよ、あたりさわりのない辺りから、順を追って話してくれればのう…」
夕鈴は「ううぅぅうーーーー」と暫く唸り声をあげ「…ぷは」と言って肩の力が抜けた。

「最初、夢だと思ってたんです」
「何がじゃ?」
「あの、私が変なこと言ってるって思わないでくださいね?
私も夢じゃないかって、ちょっと自信がないんです…。
――実は昨晩、陛下のホウキに載せてもらって
カボチャ畑の上を飛んで回ったんです」

夕鈴自身は、かなり素っ頓狂なことを話していると半信半疑の口ぶりだが、できるかぎり落ち着いて、順序立てて話そうという努力は見られた。

老子はうつむいたままカリカリと夕鈴の言葉をノートに書きとっている。
「…うむうむ。
真夜中に退魔カボチャの巡回…と。
陛下は真面目にお仕事をされていた、と――」

それを聞いて夕鈴は、ホッとした。
(そうなのね、ここではそれが当たり前なんだ)
よかった、と夕鈴が胸をなでおろしていると、
真面目に言葉を書きとめているはずの老子の肩が、ヒクヒクと小刻みに揺れた。

「…にしてもホウキとは…」
老子がブツブツと独り言を言う。
数式を書いて、計算をして、首をひねり「…いや違う」と、書きかけの数式をジャジャっと線で消す。

「うーむ…ホウキ、ホウキ。
――わからんっ!」

何やら難しい表情をして唸っている老子を見ると、魔法使いは、素っ頓狂のように見えるそれらの行動の一つ一つに何か意味があるのかもしれないと夕鈴にも思えてきた。

「えっと。でも私が魔法使いはホウキに乗って飛ぶんですかと尋ねたから
ホウキがいいなら、ってそんな具合だったと…」

「なんじゃ! それならここの数値は全部、反故じゃ!」
老子は頭を掻きむしって叫んだ。

「…にしても。真夜中のデートは、ホーキで密着ランデブ~♪
ロマンティックじゃのぉぅ~~、ぬししし…」
老子が嬉しそうに漏れるのを夕鈴は聞き逃さなかった。

「――!! 真面目に聞いてくださいッ!」
夕鈴は、机をバン、と叩いた。

「…」
老子は知らんふりをして、ノートに向かって複雑な書きつけをする(フリ?)。

「それで?」と、改めて先を促され夕鈴も気を取りなおした。
(こんなことで怒っちゃダメ。冷静に話さなきゃ)

「その、地平線まで続く畑中の退魔カボチャが光っていてとても不思議な光景でした」
「魔封じのドルイドが用いたランタンカボチャ、とも言われるでのう」

「それで、ホウキに乗せてもらって飛んでたんです。
陛下は『このあたりの畑にあるカボチャはイタズラ者だから、一人の時は決して触っちゃダメだ』っていうんです。そのくせ、私に『大きくて形がよくて色艶よいカボチャを見つけて欲しい』とか…。
――これって矛盾じゃありません?」

夕鈴は少しムキになって老子に零した。

「…って、老子に怒ったってしょうがないですね」
としょぼんした。

「――まあ、そうじゃなぁ」
老子は仕方なさそうに頷く。
長年、魔払いカボチャを保護してきた魔法族の精鋭農夫を見続けてきた。

魔法を吸い取るカボチャは、魔法使いにとっては究極の弱点となる恐ろしい兵器であり、特殊訓練を積んだベテランの隠密農夫といえども、うっかり逢魔が時に退魔カボチャと対峙すれば、時に命を失う惨劇が起きたものだった。

真夜中の逢魔が時に煌々と光るランタンカボチャ。
それは、魔法使いたちにとって恐怖の光でもあった。


「陛下が求めるカボチャは、魔払いカボチャに在らず、
まったく逆の性質を持つ魔法カボチャのことじゃからなぁ…」

「…え?」

「じゃから。魔、法、カボチャ―」

「魔法カボチャ?
あの光ってるのとは別の?」

「そうじゃ。魔封じのカボチャが魔を呼び寄せ喰いつくし封じ込めるカボチャなら、
魔法カボチャは魔法を発する大いなる力の源となるカボチャじゃ!」

「…それって、どこで手に入るんですか?」

「――じゃから、探しておるんじゃ!」

「ッ…って、陛下にも分からないってことですか?」

「そう、じゃ!」

「そんなものを、門外漢の私に見つけられると陛下は本気で思ってらっしゃるんでしょうか?」

「…あれは与えられるんじゃ
人知れず生まれるんじゃ!
それを見つけるんじゃ!
見出し育み、魔力を備えるんじゃ!」

「…よく、分かりません」

「分からんで、結構!
理想の作物を作るまで、
のーかの探求の旅は長いのじゃ!」

(やっぱり、よくわからない…)
そう思いながら夕鈴は少し困ってしまった。

「…んで?
ホーキで、空を飛んだ、と。その続きを訊かせてくれんか」

「あ。はい。
そんなこんなで
陛下のお話し聞きながら飛んでるうちに、
私、うっかりホウキから滑り落ちちゃって――」

「なぬ?」老子は青ざめた。

「…で、畑に落ちて、カボチャに食べらちゃったらしいんです」

「ひえーーっ!? だだ、だだだだだ大丈夫じゃったのか?
いやまさか陛下がご一緒で…」

「それで、ベッドで眼が覚めたときには、もう左手が開かなく」

「フム、フム!」
サラサラとペンをはしらせ、老子は必至で夕鈴の言葉を書きとめていた。

「で、眼が覚めたら陛下が傍にいて」

「――っフム~~っ!!!」
老子の鼻息があがった。

「…って、何にも、何にもなかったですよっ!?
変な想像しないでくださいッ!!…××××っ!!」
夕鈴は、そこから自分で自分の妄想に絡め取られ混乱し、もがき始めた。

「なんじゃ、なんじゃ!
それで、どうやったら手が開いたのじゃ~っ!
何かきっかけは?
何か直接的なきっかけは無かったのかの?
――例えば、ヘーカが寝台の上でお前さんを押し倒してチューしたとか!?」

大興奮の老子が、ズバリと言い当てた。
その途端、ドカーンとマンガの書き文字(擬音)が見開き2ページで炸裂した(かと思われた)。
夕鈴の頭半分吹っ飛んだ(かと思われたが、実際は無事だった)。

マグマのように溶け落ちる彼女の表情をみて、老子はニヤリと笑った。

「なるほどのぉー!!!
ちょっとまて、いや。わかった、よしっ、これじゃ!」

老子は、ノートにサラサラと何やら見たことのない文字や複雑な数式らしきものを書き連ね、途中頁を繰り3ページにわたる計算式を完成させた。

「お主、ヘーカ。
ヘーカの手料理。
これがあって…ホーキ、いやホウキの影響は除外してよいのじゃな、
として、夜間飛行、カボチャに食べられ…」
ブツブツとつぶやく

「ちょっと前。お前さん、もしかして、何か特殊な才能はないか?」

「は?――仰る意味が分かりませんが」

「いや、じゃからっ…!!」
老子は地団太を踏んだ。

「…そのなんというか。
その天然ボケというか…図太さ。
陛下のお傍にいてもあまり感じないとか? 怖いは怖いじゃろうが
その、つまり。…体調が悪くなったりはしないじゃろ?」

「…へ? 何のことですか?」

「朝床を共にしながら
額の印以外に、陛下お力の魔法のマの字すら漂ってこない…」

床に、とこを共に、と…
なんですとーーーー?

「ぎゃーーーーっ!!!」
夕鈴はゴロゴロとのたうち回った。

「んなっ! なっ! 何もありませんっ!!
おかしなことは、いーっさい、ありませんでしたーっ!!」

「それじゃ!
まさに、そのスルースキルじゃなっ!!
分かった!! ありがとう!!」

老子は興奮して、ノートに再び向かってガリガリとさらに激しくペンを動かし始めた。

そして、ピンと何かひらめいた。

「そうじゃっ!!
スルースキル…スルー…
金の…うさぎ… あの事例があったのじゃ?」

老子は慌ててホコリの被った本棚の方へジャンプして、古い書物を取り出し何か調べ物を始めた。

「お主、やったぞ! 
これで何とかなるかもしれんっ!
ここから想定される数値をこの数式に当てはめて――」

老子はノートに向かいなおし、目にもとまらぬスピードでペンを操った。
夕鈴の眼が急激に悪くなったのかもしれないが
老子のペンを持つ腕は1本ではなく2本、いや3本あるようにも見えた。
(もしかすると、魔法かもしれない)

ペンの先からは次々と沢山の訳の分からない言葉や数式が現れた。
そして、今度は落書き…?
醜い大きなカボチャとつるりとした大きなカボチャ
それから…
「このへたくそな動物の絵… 四足の黒い犬のようなものと、耳の長い…これはウサギですか?」
「ええいっ! へたくそは余計じゃ! 黒狼と金兎、伝説の動物じゃ!!」
動物とカボチャの絵の間には複雑な図形と文字の魔法陣が書かれていた。

「これじゃっ!
――謎は全てとけたっ!!!」

老子は両手でノートを高々と掲げ、見せつけた!


ノートを持って小躍りする老子の姿を、
へたり込んでいた夕鈴は、はぁ…と?訳もわからず見上げた。


「よーするに。
この大きなカボチャのタネはな~

陛下とお前さんの
愛の結晶じゃぁあ~~♪
でかしたぞぉ~♪」

あ…あ、あい

…なんですと?

唐突なフレーズに、
夕鈴の顔色は赤から白へそして灰色に。
彼女は椅子にへたり込むように崩れ落ちた。


*
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おはようございます(o^^o)

意味深な老師の言葉…

愛の結晶(≧∇≦)

ラブですね。イチャイチャですね。もっとしてください*\(^o^)/*

いつも楽しみに待てしてます。
本当はおりざ様の頭の中に住み着いて妄想を読み漁りたい位ですが、我慢します←

続き楽しみです〜。

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まんまるこ様

あえてカオスに身を投ず覚悟や潔し!なまんまるこ様
いつもありがとうございます
お話も進めて行きますが不思議世界のいちゃいちゃも奨励してゆきたいと思います~(´ω`*)

RON 様 Re: こんばんは~( ̄_|

マッドサイエンティストに老子はまりすぎでどうしようかと…(笑
ちょっと畑を変えますが
どうか種まきに来て下さいm(_ _)m
お待ちしております~
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秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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