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狼のーかの花嫁(13)

こんばんは~
今日は良いお天気でしたね、4月に夏日とかちょっとびっくりですが
さわやかな初夏の気候を迎え
GWの前半戦スタートも気持ちよさそうですね


久しぶりに真面目な連日更新です。
(驚き)


さて。
飛び出した夕鈴を拾った張老子。
軽トラで流れてたラジオから仕入れた情報で夕鈴愕然。
そしてそして、いろいろ不思議な現象が…。


【現パラ】【ファンタジー】【決して無理しないでください】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(13)
* * * * * * *


「もうお主、知っとるんじゃろ。ここは魔法使いの里で、これは魔法使いラジオじゃよ。ゴシップも多くての、…うしし。暇つぶしで聞き流すにはなかなか良いぞ」
小屋の鍵をあけて、老子が手招きした。

「…ま、立ち話もなんじゃて」
夕鈴は素直に老子の小屋に足を踏み入れた。

簡素な小屋の内部には、農業に関する沢山の古い書物が詰め込まれ、古めかしい農機具と天秤やビーカーやフラスコなどの科学実験装置のような複雑な器具まであった。
老子が小さな椅子を奥から持ち出し、埃を払って夕鈴に座るよう勧めた。
机を挟んで座ると、夕鈴は先ほどの話を続けた。

「あの。さっきのラジオ。
カボチャのコンテストでヘーカが負けたら
美魔女さんたちまとめて後宮入り決定って――?」

ああ、そのことか、と老子はこともなげに肯定した。

「ま、平たくいえばそういうことになるの。
魔力を持つものはその器に相応しいものを、
手にせねばならん」


「ヘーカは納得して?」

「こっちの世界では、そういうしきたりになっておってなぁ。
王にはお世継ぎが必要じゃ。退魔カボチャをこの地に集め管理するのが我らがの仕事。それをしのぐ魔力を有することが国王の条件じゃ。
退魔カボチャが暴れて、我々が逆に封じられてしまったら我ら国民全員に被害が及ぼう。
国王の魔力がいまいちなら、早めに魔力の強い娘と多くの子を設け、より多くの魔力でこの地を支え、さらにはお子の中から次世代のより魔力の大きい王を選ぶことが肝要じゃ」

「…それって。陛下の力量が及ばなければ、つまり大きなカボチャが手に入らなかったら。たったそれだけで、勝手にお妃をたくさん貰わなきゃいけないって、決められちゃうってこと…? 陛下の意思は?好みは――?」

「心配せんと、選りすぐりの美女の魔法のつかい手の中には、そのうち好みのタイプも見つかろうて。この国の長い歴史において過去の王はほとんどが後宮を持ち、そうしてきたものじゃ。いくら強大な魔力の王族といえど、才あふれる連合の総合魔力には及ばぬことのほうが多い…。また、自身が21歳の儀式である公開評議において連合をしのぐ魔力を認めらた時でも、歴代の王はより多くの畑に種をまくため後宮を持ったものじゃ」

「畑に種をまくために後宮…?」
ポカンと夕鈴が見つめたので
「…まあ、そこはおいおい」
とニヤニヤする老子。

「でも、…ちょっと待ってください。
でもそれって、その21歳の公開評議で、王様が勝っても負けても、あんまり違いがないってことじゃないですか?」

「そうではない。
少々意味は異なるが、絶対君主か、民主か。
唯一の王の持つ絶対的な魔力が世を治めるか、
評議員含めた国家という組織の魔力が治めるか、という違いじゃろうな」

(…どっちにしても、ヘーカ個人は、あまり幸せじゃなさそうね)
夕鈴は思った。

「どちらにせよ、我ら魔法使いの国では魔力こそが絶対的基準なんじゃ。
強大な魔力を持つ王を戴くことこそが肝要である以上、後宮が存在しなかった例はほとんどなく、むしろ後宮を持たぬ狼陛下の方がおかしいと誰もが首をひねっておる。
国の存続のためにも、王宮に後宮の存在はあるべきものなんじゃ。
かくいうわしも、歴代王の後宮管理人が正式な役職じゃが、…とほほ、狼陛下は後宮など無用とおっしゃる。おかげでワシは今じゃ毎日畑仕事じゃよ」

「その…後宮って、やっぱり?」
夕鈴は口にしながらなぜか赤面した。

何を想像したんじゃろ、と老子はキャと嬉しそうに悲鳴をあげた。
鬼面の夕鈴が回りこみ、肘鉄を食らわせた。
フーフーとお互い肩で息をして再び席に付く。

「もぉー、先行き短い老人に対して何するんじゃ、乱暴な…!(ブツブツ)
そう、後宮ってゆーのは、お前さんのご想像通り。
たーくさん、奥さんがいるのが、普通なんじゃ。国王陛下には」

「たーくさん?!」

「…それって、嫌じゃないんですか?
ヘーカ、それじゃ気が休まるときがないっていうか…」

「それも仕方がないじゃろ。後宮は陛下のお心を癒すための存在するものであるが、最も大切な存在意義は、国のため、お世継ぎを得ることじゃ。魔法を封じる退魔カボチャを世界から隔絶するは我らが魔法使い一族の宿命。それを束ねる王にはより強大な力を皆が求める。より魔力の強い子孫を残し、国を安定することも魔法使いの国に君臨する王の仕事じゃ。お前さんたち、人間にはちょいと理解できんことかもしれんがな…。
王が生まれながら備えた魔力の器を見極めるには、21歳がその節目。そういうしきたりなのじゃよ」

(…イヤ)と、夕鈴は思った。
だが、口には出せなかった。

(あの優しい人が、勝手にお嫁さんを沢山って。
愛してるわけでもなく、ただ、たくさんのお子を産ませるために…、大勢のお嫁さん?
って…お、お、お子?)

いくら奥手の夕鈴とはいえ、子どもが生まれてくる前の段階におぼろげながらも何事か必要であるということは想像できて、想像するとそれは結構刺激的な内容であった。

「いくらあの方が『妃は早い、今は国を立て直すのが優先だ』とおっしゃろうと今年ばかりは避けて通れまいて。
ま。じゃが、あの陛下のこと。たとえ評議会銀連合が相手でも負けはせんじゃろ。
なんといってもあの方は伝説のアングマールの魔王を凌ぐとまで言われる強大な魔法の使い手じゃからの! 
そりゃーもー、わしもあの方、怖く怖くて…!」

「――アング、マー…?」

「…まあ、とにかく。あの方は強く、厳しい御方じゃ。
お主は心配せんでも良い」

「でも――まだ、カボチャがないって。
私に探してほしいって…」
夕鈴は急に心配になってきた。

「まあ…それはそうじゃが」
老子は言葉を濁した。

「あと、9日しかないって?」

「なんとかするじゃろ。あの方なら。
――まあ、あまり心配せんことじゃ。
ああ、お茶でもいれようかの」

老子は茶を入れるために立ち上がった。

カチャカチャと隅っこから茶器をとりだした老子。
ヤカンに向けて指をパチンと慣らすと、ヤカンの注ぎ口からゆらりと湯気が立った。

老子が茶葉を入れた茶器を用意し、ヤカンを傾けると湯が出てきた。
夕鈴は今の今まで、魔法と言われても絵空事のように感じていたが
今まさに目の前で何事か起き、ピシッと背中を正して老子を指さした。

「…そ、それ。魔法ですか?」

「――ん?」
老子は何事かと眼を丸くして夕鈴の方を見返した。
夕鈴は震える指先で、ヤカンを指さす。

「今、お湯沸しませんでした? そのヤカンの…」

「あーお主、魔法を見るのは初めてかっ!」
老子は手で額をペシッと叩いて、舌を出した。

「いやー、いつもの調子で。
普段、人間の前ではやらんのじゃが。この魔法使いの里では周りは勝手知ったる魔法使いばかりじゃし、老人一人の小屋じゃから、火の用心でのう」

老子は茶器にフタをして蒸らす間、茶菓子を探しにゴソゴソとあちこちを掻きまぜていた。

「…魔法って、そうとう便利、ですね」
まだ半信半疑の夕鈴は、ジイィッと不審げに老子の手元を見つめたが、お湯はたしかに沸し立てで、老子と夕鈴の二人が小屋に来る前に準備などしておける様子もなかったし、タネ仕掛けもなさそうだった。

探し当てたせんべいを一枚早速出して、パリンと頬張る老子。
「ま、わし。これでも相当位が上の魔法使いじゃよ、エッヘン!」
老子本人の談には信憑性が低い気もしたが、老人のメンツのためにも今はそういうことにしておいてあげようと夕鈴は思った。

「陛下も、そういうことできるんですか?」

「…お前さん! なーに言っておるんじゃっ!
ヘーカはものスゴイ魔力の持ち主だぞ?
ヤカンの湯どころか、広いお風呂だって一瞬で沸されるぞい、きっと。多分。
いや見たことは無いんじゃが、やられたこともないかもしれんが、とにかくそれはもう、わしらの何倍もなーんばいもすごいんじゃ!」

何だかやっぱり胡散臭い。

お茶の入った茶器を夕鈴のほうへ差し出し、老子は少し寂しそうに言った。

「とにかく、あの方の魔力はすさまじすぎるのじゃ…。
桁違いの魔力は触れるものすべて、魔を帯びさせると
あの方は自分を戒めて人と人の間にまで距離をとられてしまわれる…」

「…距離?」

夕鈴は考え込んでしまった。
張老子の言う狼陛下と、実際の自分の中での印象で、へだたりを感じたのだった。


そんなことはない…。
あの優しい人はすぐに私にくっついて
小犬のように優しい顔で…

「――私はそんなよそよそしいとか思いませんでした。
この間も、わざわざ朝食を作って、食べさせてくれましたし」

夕鈴の言ったことに、老子はとても驚いた顔をした。

「なぬ?! 陛下の…料理? まさか――陛下の天空農園の…」

「オーブンで焼いた焼き芋と…厚切りのベーコンとソーセージと目玉焼き。
すごく簡単な料理だし、初めてだって言ってましたけど
すごく美味しかったです」

夕鈴は思い出しながら、味を思い出してちょっと幸せな気分になった。

「…そ、それでっ!!
お前さん、身体は大丈夫だったのか?」

真顔の老子のその気迫に、夕鈴はちょっぴり驚いた。
ガタンと机が傾き、お茶が零れた。
「あっお茶がっ!」
夕鈴はこぼれたお茶を拭こうと、ポケットからハンカチを取り出した。
ハンカチを出すときに、ポケットからポロリと何かが零れた。

「もうっ!! 老子ったら、お茶、熱いんですから
気を付けてくださいっ」
夕鈴が机を拭いている間、老子は夕鈴のポケットからこぼれた何かに気が付き、慌てて回り込んで床の上に落ちていたそれを、じいっと見つめた。

「…さっきの件じゃが。
お主、陛下の御手によるものを食べ、本当になんともなかったんか?」

「ええ、別に…」
夕鈴はけろりと答えた。

老子は慌てて傍にあった棚から小さな空の小瓶を素早く取ると、
床の上のものを手で触れない様にそっとビンの中に掬い取った。

「たしかに、お傍で過ごしたお主からは陛下の魔力は感じられん。その額の印のみと…不思議な感じはしていたのじゃが…。
――お主、今これを落したこれに、何か見覚えは?」

「…あ。それ!
つい、持ってきちゃいました」

「つい、持ってきた、とは?」

「昨日、左手の拳が開かなくて、それで、えーっと…たしか陛下に――



××!?」

夕鈴は唐突に今朝のやり取りを思い出し、またもや真っ赤になって噴火した。
夕鈴が一人でのたうつ様子をみて、何かあったと察し、
そのあたりツッコんで訊きたい老子ではあったが
今はこの物の正体が知ることが優先と「それで?」と続きの話を促した。

「――ととととととにかく、手が開いたら
中から出てきたんです、それが」

フムと考え込んで、老子はもう一度ビンの中身と夕鈴の顔を交互に見比べた。

「変なものですか? それ」

「…タネ、じゃ」

「え?」

「カボチャのタネ、じゃ――」



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