スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

狼のーかの花嫁(11)

ご無沙汰でした、再開です。

狼のーかの花嫁(11)

ほぼ5か月間のブランクを経て連載再開、
長らくお休みをいただきありがとうございました。

ここまでのお話は… 狼のーかの花嫁 (1)~(10)
よろしければご覧ください(*´ω`*)





【現パラ】【ファンタジー】【微甘】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(11)
* * * * * * *

狼陛下の唯一の妃の部屋は白亜のビルの18階にあった。
天蓋につきの大きなベッドには白いレースをふんだんに用いたネグリジェを身にまとった夕鈴と、狼陛下。

寝台の上で二人はお互いを見つめ合って横になっていた。
覆いかぶさった黎翔を両手で押し上げるように必死で距離を取った夕鈴は、あまりのことに思考停止状態に陥っていた。

目が覚めたら、陛下とベッドで一緒に居て
昨晩はカボチャに食べられて意識を失った…らしい。
そして、
(…ファ、ファーストキス――)
夕鈴は真っ赤になって呆然として彼を見つめ返していた。


真っ白な敷布の上に横たわった夕鈴の金茶の髪が広がり、白い肌を朱に染める彼女を冷静に見下ろしながら、彼は寂しげに言った。


「僕はね。
…魔法使いの王様、なんだ」

そのとき、夕鈴の握り締められていた左こぶしは
それまで開こうとしても開かなかったはずなのに、
自然とゆるみ指の隙間から何か小さなものがポロリと寝台の敷布の上に零れ落ちた。

黎翔は、その零れ落ちたそれに一瞬だけチラリと目をやると、覚悟を決めたようにもう一度とても冷めた表情で彼女を見下ろした。

冷たい紅い瞳に――夕鈴は、思わずゾクリと震えた。

彼を押して二人の距離を取ろうと抵抗していた彼女の腕の両手首を
狼陛下は難なく捕らえる。
力で叶うわけはなかった。
夕鈴は寝台に縫いとめ、寝台に横たわった無抵抗の彼女に狼陛下は覆いかぶさり、
彼女にゆっくりとその端正な顔を近寄せた。

「覚悟もないのに踏み込めば、
痛い目に会う」

低い声で彼はつぶやくと、
動けない彼女にもう一度、ゆっくり口づけを落とした。

重ねて口づけを受けた彼女は
ファーストキスを奪われた上
「魔王」とか、痛い目に、とか――!?
夕鈴の瞳にみるみる涙が溜まる。

「うわああああああああんっ!!」
夕鈴はパニックを起こし、大きな声で泣き叫んだ。


「――!!!」
今の今まで狼だった陛下がさーっと青ざめた。

夕鈴にとっては「初めて」で…
余裕シャクシャクの陛下にとって、そんなのは「よくあること」かもしれない。
けど、自分にとっての「最初」を――
訳も分からぬ理由で、義務みたいに口づけされたくなかった。


「ご… ごめんっ!!」
狼陛下だった黎翔が、一気に青ざめ、小犬にもどった。

夕鈴は余りのショックに、あたり構わず手足をばたつかせ、手近にあった羽枕を探り当てるとそれを掴み、あたり構わず振り回し激しく抵抗をした。

「――で… 出ていってくださいっ!
バカ―っ!!!」

「ご、ごめっ!
今のはダメだった、ゴメン!」
小犬になった黎翔は青ざめた表情で、防戦一方。

「あっち行って~!!!」
夕鈴は大きな声で泣き叫び、陛下にむけてバシバシと枕をたたきつけて暴れた。

夕鈴の大声に、隣室で控えていた者たちがあわただしく動き始めた。
「陛下、お妃様、どうかなさいました――?」とパタパタと足音が近づく。

更に黎翔は慌てた。
「何でもない、お前たちは下がれ!」

暴れる夕鈴を避け、黎翔はどんどんと窓の方へと追いやられる。

「キライ、
狼陛下なんか
大っキライ!!」

夕鈴は叫ぶと、馬鹿力でグイグイと陛下をテラスの方へと押し出した。

ガチャリ、と大きなガラス戸を開く。
轟轟と風が吹き込み、白い瀟洒なカーテンがブワッと巻き上がる。

夕鈴は破れて、羽毛をまき散らす羽枕の残骸をブンブン振り回し、陛下をシッチャかめっちゃか打つと
「出てって!!」と叫び、
陛下を無理やり部屋の外に押し出すと、ぴしゃり、と扉を閉じてしまった。

夕鈴は涙がこぼれる瞳をギュッと閉じ
背中で戸を押し、体全身で彼を拒んだ。

大っ嫌い…

大っ嫌い――


黎翔は蒼白になった。
大っ嫌い、という彼女の叫びが黎翔の胸をえぐった。

「ゆーりん…」

妃の部屋を追いだされ、テラスに佇んでいた黎翔はしょぼんとうなだれ、18階の妃の部屋とテラスを挟んだ向かい側の自室にトボトボと帰って行った。


* * * * * * *

最高級の仕立てのビジネススーツに身を包んだ狼陛下は、真っ白なバラの大きな花束を抱えて立っていた。

白陽ローズガーデンという大温室で栽培された「唯一の花嫁」という名の新品種で、見事に咲き誇った白バラだった。
朝の出来事を反省し夕鈴が落ち着くころを見計らい、謝罪に彼女の部屋を訪れた黎翔。

コツコツ、とノックをして
中の様子をうかがう。

「…ごめん、ゆーりん」

返事はない。

もう一度ノックをし、ノブに手をかけると、鍵がかかっていない。
「ゆーりん、ほんと。朝はゴメン。
――入るね?」
黎翔が扉を開けて、恐る恐る室内を覗き込んだ。

部屋の中には人の気配がなく、誰もいなかった。




(つづく)


*
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

おはようございます(^^)再開お待ちしてました!
夕鈴大パニックですね^^;
これからどうなるのかドキドキです。続きもお待ちしてます。

SNSでコメントのやりとりを少しだけしたことがあるのですが、覚えてますか?
おりざさんのコメントに力を貰って少しだけお話を書いてます。

これ先が気になって!気になって!
嬉しいです!!

完結までついていきます!

本、とらさんでポチってきました〜。
楽しみです♪( ´▽`)

いろいろお忙しいかと思いますが、お体に気をつけて、元気に続きをお願いします(>人<;)

まるねこ

コメントありがとうございました
長らくお待たせしました
待ってて下さってありがとうございます(涙;
「もう、いいよー」とか言われたらどうしようかと…(笑
励みになりました(´ω`*)

まんまるこ 様

こんばんは~^^
SNSの方もありがとうございました
小心者な読み逃げですみません

のーか(あるいは魔王様、と一部で呼ばれてます…)
(パラレル・ファンタジーで、ついてきてくださる方がいらっしゃるのか
ドキドキしながら書いてる感じ)
まんまるこ様が楽しみにしてくださってたとのことで(ちょっとほっとしながら)嬉しいです
まだ先は在りますが、完結まで頑張ります~<m(__)m>


> SNSでコメントのやりとりを少しだけしたことがあるのですが、覚えてますか?
> おりざさんのコメントに力を貰って少しだけお話を書いてます。
>
> これ先が気になって!気になって!
> 嬉しいです!!
>
> 完結までついていきます!
>
> 本、とらさんでポチってきました〜。
> 楽しみです♪( ´▽`)
>
> いろいろお忙しいかと思いますが、お体に気をつけて、元気に続きをお願いします(>人<;)
検索フォーム
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

おりざ

Author:おりざ
秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

アクセスカウンター
ただいまのご来訪数
現在の閲覧者数:
ありがとうございます
■(キリ番)カウンターでキリのよい番号に遭遇された方はお気軽にご一報ください^^

■オフ活動■ おりざの本[織座舎] 一覧 → こちら
陛下の花園へようこそ
~ご注意~
≪以下あらかじめご了承のうえ、本サイトをお楽しみください。≫

・原作者様ならびに出版社様とは一切関係ございません。
・此のブログは日々の日記並びに二次創作作品の倉庫、管理人本人の自由な自己表現の場です。
・この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などにはいっさい関係ありません。また原作と異なる設定など、表現、その他多数捏造あります。

・二次創作の場です。
・ブログ内容に関する苦情は受け付けておりません。出来る限り注意は払う意向ですが個人的表現の場という位置づけの運営上、万人に対して万全を保障するものではありません。
・読む際は各作品の冒頭の説明・ご注意等にてご判断ください。読後いかなる不都合が生じても当方はその責任を負いかねます。

・ご感想お待ちしております。

・当ブログ内の作品の著作権はブログ管理人に属し、無断コピー・無断転載は固く禁じます。
Twitter
 
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。