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SS春の便り

お元気ですか?
久しぶりに朝ゆっくり寝て、久しぶりに夢を見ました。
案外スペクタクルな夢でした(笑





<業務連絡> ご不要な方は飛ばして下さい。
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・とらさんのお取り寄せ販売(てすさびの)は明日3/31締切です。5月のスパコミにも若干、持ち込み予定。

・3月新刊の「秘密の苑・刺青の男」は残部あと少々。5月のスパコミ分はありませんので売り切れ御免です。




【69話ネタバレ妄想?】【他愛ないSS】
政務室と廊下。黎翔と名もなき官吏と浩大。
69話の設定を含みますので、念のためネタバレ表記。コミックス派の方はお気を付けてくださいませ。


* * * * * *
春の便り
* * * * * *


――春が来た。


政務室、といえば

年中冬の極北の地のごとく
常にブリザードが吹き荒れていたものだった。

とくに今年の冬はことのほか厳しく、
寒気の超大型低気圧が居座っていた。

「春も近いというのにこの寒さ。
政務室に配属された者は、特別に厚手の綿入りの胴衣を支給しないといけませんね。
…ったく、このモノ入りの時期に。
ですが、有能な者たちばかり。体を壊されてもいけませんし、流行り風邪をこじらせたら大変ですし」
李順がブツブツとそろばんをはじきながら算段をし、その予算を陛下に奏上していたのはつい先日だ。


その政務室に、――春!

* * * * * *


狼陛下の眼前に、重要な案件の文書を広げプレゼンをする若い官吏。

昨日までの勤務経験上、さんざん身に染みている。
裁定をくだされるこの世の終わりの審判のように、
この恐ろしさは何度経験しても慣れない。


端的に、簡潔に。
時間のない陛下の午前で、単語一つも吟味し、早すぎず、遅すぎず、
かまず、通る声で。人品、態度、物腰――総合的なプレゼン能力を試されるのだから、それは大変に緊張を強いられた。

「…フム、それで良かろう」


(え?いいんですか?)

あっさりと書類が通った官吏は、むしろあっけにとられ、どうしてよいのか分からずモジモジした。
以前なら決して妥協は見せず、必ず改善点の一つや二つは…

「――だが、この点とこの点には改善を…
…別の視点で方法を考えて見ろ」

(…来た!!)
涙がチョチョぎれる。

(そうだよな、そんなわけないよな
喜ばせて、突き落とされる、それが人生だよな…)

狼陛下は妥協はしない。
だがしかし、覇気に満ち鋭く明朗でありながら、いつになく優しく感じるのはなぜだろう。

思いもよらぬ角度からの賢作のアイデアまでスラスラと口にする。

(さっと目を通しただけで、どうしてそこまで!?)
――全く。舌を巻く。なんという賢君だろう。
改めて陛下の偉大さを知る若い官吏であった。

「――はっ! では直ちに見直してお目にかけます!!」

「再提出の期限は、明日で良い」


(…え?)

いつもなら「即刻」>「後で」>「遅くとも今日中だ」では――?

「ここまでまとめるにはさぞ苦労だったろう。お前の才能は高く買っている。少し休み、その上で明日までにさらに良くしてまいれ。時に休養は必要だ」


(…なんという
政務室に、春が…!!)

その瞬間、彼の脳内で白陽国に花の訪れを告げる花が咲いた。


* * * * * *

昨日までの重苦しい雰囲気はどこへやら。

国王の決済スピードはいつも以上にキレっ切れで速かった。

だが結果的に適度な休養を挟めるようになり、
官吏の勤務環境は大幅に改善し、作業効率もアップした。

いつものようにうず高くつまれた山のような案件をスラスラと滞りなく片づけ、
「今日はずいぶんと捗ったな。では少し私も休む」
と席を立つ陛下を、臣下たちは恭しく見送った。


今日の分の仕事は片づけた。
この後は自由時間だ――李順も文句は言うまい。

回廊を渡る足取りも軽い。

突然屋根からヒソと声が降ってわく。

「…陛下。なにニヤケてんの?」

「浩大か? ――何だ」
馬鹿を言え、ニヤケてなどおらん!
少々憤慨しつつも、ここで顔に出しては相手の思うつぼ
イジられるだけだ。


「お妃ちゃんが、檻中は殺風景だから、何か花の一輪でも活けられたらって呟いてたナ」


「…」

黎翔は耳に入ったそぶりも見せず、知らんふりで歩速を変えず回廊を歩き続けた。

だが、角を曲がるとき目に入った花群に欄干から手を伸ばし、一番大きく華やかに咲き誇る一輪を手折り袖に入れた。


「ヘーカ。顔がゆるんでタガが外れてるぞ」

「煩い!」

左袖から手刀が飛ぶ。

浩大はヒョイと交わしながら
「…あ、お妃ちゃん!」と小さく叫んだ。

黎翔は思わず満面の笑顔で振りむいてしまった。


「――なわけ、ないじゃん!
自分であんな檻に閉じ込めて、さ」


「…ば、馬鹿者っ!」


ちょっぴり動揺して歩幅が大きくなった黎翔を
クスクスと見送る隠密であった。



「春の便り、か――。
お妃ちゃん、よろこぶだろーなー」




(終わり)


*
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