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狼のーかの花嫁(10)

狼のーかの花嫁(10)

夕鈴の夢?
陛下とホウキに乗ってカボチャ畑巡回デート…
だけどなぜか夕鈴はカボチャに吸い込まれて食べられた!

さて。どうなることでしょうか?

場面は変わって同衾シーンから。
Rは付ける必要なし。

でも、お話がぶっ飛んでるので。
…ご無理されませんように。

それでも宜しければどうぞ。



【現パラ】【ファンタジー】【微甘】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(10)
* * * * * * *

「…うわっ!?」
ビクッと跳ねた。
ゆらゆら…とベッドのスプリングが収束する。

白いレースの天蓋。ここはベッド?

変な夢をみてしまった――。
『カボチャに食べられる夢』

荒唐無稽なマンガのようなオチ。
なのに今もドキドキ胸が止まらない。

目をごしごしこする。
「それにしても私にしては非現実的な夢を…」
そう、いつも見る夢といったら
八百屋さんで値切りすぎて、大量買い付けしちゃった山のような大根や白菜を漬物にするのにヒーヒーしてる夢とか
青慎が見事難関を突破して喜ぶ夢、とか。

自分がこんな想像力豊かな人間とは思わなかった。
ボンヤリしながらあたりを見回す。

ギュッと左手を握り締めていた。
手がこわばって指が開かない。

だから右手をそっと動かした。
…フワフワした毛布の横を指先で伝う。

「こんな上等なベッドで眠れるバイトって、なかなかないわよね…。
うふ。…幸せ」

すべらかな寝具のその先に

なぜか、固い、もの――が?

え?

「え? ――ギャ!?」
横を向くと、そこには異質な物体、いやさ、人物がいた―――!?

「へ、へ、へいかーーー!?」

さらさらとした黒髪。すうっと通った鼻筋。綺麗な横顔。
伏せた黒いまつげは、女の私ですら嫉妬してしまうほど長い。

少し骨ばった手で軽く腕枕をして…私のすぐそばですぅすぅとかすかな寝息を立てていたその人物は――狼陛下、その人だった!?

目がグルグル回る。

(ちょ、ちょっと、待って?
え――、なに?
何か、間違いでもしちゃった?
ウソ――!?…××××!!!)

頬をペチペチ叩くが、記憶にない。
「夕鈴、落ち着くのよ?
あ、でも。
――そんな馬鹿な!?」頭をポカポカ殴る。

ハッとなって、布団をそっとめくる。

見覚えのあるパジャマ… ベージュの兎柄の
ちょっとくたくたの肌触りの良い…

「ぎゃーーーっ!? 違うっ ウソっ!?」

身に着けていたのは、
記憶にない白いネグリジェ。

確かに昨晩寝るときは、いつものお気に入りのパジャマを身に着けたはずなのに――!

ポカポカ頭をたたいていると、陛下がゆるゆると手を動かし、小さなあくびをした。

「へいかっ!?」
ふわ…と小さく息を吸い込むと、
陛下はぱちりと目をあけた。

真紅の宝石を彩る、黒くて長いまつげ。
寝台の傍で、私を見つめる。

「おはよう、わが愛しの妃…」

「な、何もしてないですよねっ?」
「…は?」
陛下はクックと笑う。

「何かしたら、どうだというのだ。
…君は私の妃、だろう?」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!?
私、バイトですよ?
その…何か間違っちゃったとか…
あの――!?×××××???」

陛下に抱きしめられながらせめてもの反抗のように、手を彼の胸に何度もたたきつけた。

私の左手は相変わらず握り締められたままで、指がこわばって開かない。
でもそんなことを考えている暇もなかった。

「…冗談。何もしていない」

「――へ?
ホントの、ほんとですか?
何もしてません、ね?」

「してない。
君が離してくれないから、仕方なく横に寝てただけ」

ホッとした。
思わずこぼれた私の涙を指先で拭い、
陛下は私の頭ごとギュッと抱きしめて、
甘い言葉を一つ二つつぶやくと、やさしく頬を触れ、私の名前を呼んだ。

軽く前髪に唇を押し当て、チュッと音を立てて口づけをする。
…その甘い雰囲気は、息がとまるほど。

思わず本当の恋人扱いをうけているようで、胸が締め付けられた。

ば、馬鹿なことでトキメかないでよ?私の心臓ったら!
これはお仕事。陛下にとっては単なる演技。

本当は、私をからかってるだけ…。

「よく、眠れたか――?」

「…そ、そういう問題じゃなくって!」

私はあまりのことに、思わず涙がこぼれた。
涙を見て、陛下は急に真顔になった。

「…どういう、問題?
どこか、痛い?
何か嫌なことでもあったか――?」

平然と答える陛下に、ムッとした。

(あなたとなぜ、一緒の寝台に寝ているのか。
それが問題なんだと、なぜ分かっていただけないのですか?)

まさか、間違いでもあったのかと、抱きしめる陛を布団ごと払いのけるようにして、
一気に寝台の端まで転げ出て、ギュッと胸元を掻き抱く抱く。

身を固めて、後ろから私の髪を指でやさしく梳く陛下を、涙目でなじるように見つめた。

「どうしたの、ゆーりん?」

余裕シャクシャクの相手が憎らしい。
「どうして…どうして、ここにへーかが」

「…君が離してくれなくて」

「うそ!」

「…本当に、覚えてない?
君、カボチャに食べられて…」

「――え?」

思わず、呆然とした。

カボチャに食べられる夢。
それって、私の見た夢だったはず。

「…カボチャに…?
もしかして、陛下。
私の夢を見たんですか?」

陛下はくすっと笑って
「君と二人で夜の散歩に行って、
カボチャ畑の上を飛び回って
それで、君がほうホウキから落っこちて、
カボチャに食べられちゃった、夢?」

カボチャに食べられた、――夢?

「――!?」

あまりに平然と答える陛下を見つめて、絶句した。

「あれは。
私の…夢、じゃなかったんですか?」

「うん」

「ウソ?
人間が空を飛べるはず、無いじゃないですか!」

「そうだね。
…人間なら、空は飛べないよね」


にんげんなら、そらはとべない

「じゃあ、空を飛べるとして。
陛下。
あなたは、何者――?」

「…知りたいの?」

「はいっ!」
即答した。
それは私の本心だったから。

「好奇心旺盛なのは結構だけど。
知って、リスクを負うのは、君自身だよ?」

「結構です!」

「…ふうん。強気だね。
――怖くないの?
私のことなんか、嫌いじゃないの?」

「強気、とかじゃないし
陛下は怖いけど…きらいとかじゃなくて!」

嫌いじゃないというとホッとして、それから
ケラケラと笑う陛下。

「…なら、よかった」

「笑い事じゃあありませんっ!
私はちゃんと知ったうえで、きちんとプロの臨時花嫁としての仕事がしたいだけです!
陛下が私にちゃんとバイト料を払ってくださる限り
私はその額に見合った仕事内容をきちんとしたいんです!」

「えー? …プロの臨時花嫁って、何…?」

「え…!?
ええっと…、だから。
いかなる時も同様とかしなくて。
冷静に花嫁を演じきる、鋼の精神をもったスゴイ人ですっ!」

「ええ…?
そんなのやめなよ。
できるわけない」

「できますっ! やらなきゃいけないんですっ!
私はホンキですっ!」

このバイトの報酬を聞いたときの衝撃は忘れられない。
だからこそ、必死に陛下が探してくれ、といったカボチャも探した。
でも、ぜんぜん役に立てているとは思えない。むしろ――浪費して甘やかされてるだけで。
これでお給料をいただこうだなんて女が廃る!

いただいたその分は、しっかりと働くつもりだ!

「…本気?」

「はいっ!
だから、陛下も安心して本当のことをお話くださいっ!!」

「知って、どうするの?
知ってしまったら、きっと君は困る目に会うよ?
…何があっても。
それでも知りたいの?」

「はいっ!
だいたい、陛下は秘密が多すぎですっ!
臨時花嫁だの、カボチャを探してくれ、だの。
事情を話してくれなきゃ、
私お手伝いできないじゃないですかっ!!」

「そこまで言うのなら、

話すけど――」

「…ほんと?」
陛下の態度が軟化したので、おまわずにっこりほほ笑んでしまった。

「…でも、そこまで君が言うなら。
先にやること、やっとくよ?」

「――え?
やる、こ…と …って――」

その途端、陛下は私に覆いかぶさった。

唇に暖かい感触。

――キス?

分かった途端に、相手を押し戻そうと必死に胸を押したけど
陛下の胸板は、見かけ以上に厚くてがっしりしていた。

ビクともしなくて、重くて…
とうてい太刀打ちもできず、寝台に縫いとめられるように
私たちは唇を重ねてしばらく時をともにするしかなかった。

ようやく唇が離れた。
ファーストキスを奪われて。あまりのことに私は軽くパニックを起こしかけていた。

とん、っと陛下の胸を押し戻す。

複雑な気持ちで陛下を見上げれば、陛下は静かな表情で。
なんだか悲しそうな顔をしていた。


「ここはね。魔法使いの里。

僕はね。

…魔法使いの王様、なんだ」

そういって、陛下はフッと硬い表情を崩し、にっこりと笑った。

「はぁっ――?」

ファースト・キスを奪われた驚きも冷めやらぬうち。
私の頭の中は再び混沌にかきまぜられることになった。

そのとき
それまで握り締めていた私の左のこぶしが緩み、
指の隙間から何か小さなものがポロリと寝台の敷布の上に零れ落ちた―――


(つづく)


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秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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