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狼のーかの花嫁

お久しぶりです。
このところ休みなしで本当に忙しくって、更新が滞りました。
ちょっと壊れかけてますけど、なんとか踏みとどまっています。

リクで残ってるお話も
この間書きはじめたお話も
あるにはあるのですが

――SSの書き方を忘れてしまった(笑。


「リハビリに、軽いものでも…」
うーん。

「ハロウィンだから、カボチャの話、とか?」
…と
考えているうちに、
ツボにはまって
あれよあれよと話の風呂敷が広がりました。

なんだか分からない現パラ。
そしてハロウィンとはまだ何も絡んでいない、という壮大さですが
宜しければどうぞ。



【現パラ】【出会い】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁
* * * * * * *


カボチャ、カボチャ、カボチャ…。

目の前は地平線まで続く、広大なカボチャ畑だった。

「はぁ…行けども畑ばかり、って
こんなとこのことをいうのね――」



2時間前に乗り込んだ電車から一歩踏み出したとき
眼前に広がったのは広大な地平線まで続く1本の路線。

コンクリートを盛り上げただけのプラットフォームには雨をしのぐ小屋すらない。

電柱に切符を入れる蓋つきの缶が一つと、変色した看板。
看板には「ご乗車の方へ。切符は電車内の車掌にてお求めください」という注意書きが貼られ上からかけられたビニールは日に焼けて濁っている。

閑散とした無人駅だった。

「コンビニ一つないのね?」

活気があふれる下町育ちの夕鈴は今までこれほど広い耕作地は見たことはなかった。
「大地主さんが収穫期に若い子を募集してるって聞いて、田舎だろうなとは思ってたけど…
まさかこれほどとは。
でもま、これだけ畑があるなら、収穫する人手も必要ってことよね、たぶん」

良いバイトがあると聞いてやってきた夕鈴。

「…にしても、こんな田舎の畑仕事にしては、
破格のバイト料よね――?
これって。…相当こき使われるってことかしら?」

夕鈴はもう一度、手にしていたメモ紙をガサガサと広げた。

「大地主さんが収穫期の間だけのバイトを募集。
若い女性に限る。時給××××円。
先方には連絡済み。×月×日、××時
面接先:××××白陽×-×番地××
コード:××××
(担当:李順という人)」

父さんのちょっと丸っこい几帳面な字でメモられている。

『コード…?
農地番号か何か?
…なんだか訳わかんなくない?』

胡散臭い――そう思った。

だから、話しの出どころをもう一度きちんと問い詰めた。

相手がのらりくらりの父さんだから、
やっぱり何だかよく分からない終いだったのだけれども…。

その時のやりとりを、思い返す。

「父さんが役所で人づてに頼まれたっていうけど。
…ほんとに大丈夫かしら?
こんなに時給が良いって、間違えじゃないの?」

『いーや。時給の件は、何度も確かめた!
大丈夫だよ、夕鈴や!』

『えー? いくらなんでもこの時給は破格でしょ?』

『そんなことはない、そのあたりは広大な農地の広がる大農園でな。
地主さんは“王様“って呼ばれて、地元のみんなもそれはそれは潤ってるらしい!
猫の手も借りたい収穫期だし、好待遇は間違いなしだ!』
「でも、何で
若い女性?
力仕事なら、男の人手が要るんじゃないの?」

『力仕事は人手が足りてるってことじゃないのかな? 良かったなあ、夕鈴。楽な方の仕事で
えへへ。
こりゃ見逃す手は無いぞ~!』

父さんはそういって、鼻息荒く

『他の人がバイトに決まっちゃう前に
夕鈴や、お前。すぐ面接に行っておいで
またとない好待遇だぞ!』 
と背中を押された。

またとない好待遇――
その一言につられ、勢いで電車にのってここまで来てしまった夕鈴。

「…でも。
あの、おっちょこちょいで、人の良い父さん、よ?
…そんなに調子よく甘い儲け話が?」――と、不安を禁じ得ない娘であった。

『――これは相当こき使われるんだろうなぁ…』と
あちこち世知辛い思いもしてきた夕鈴は、覚悟もしていた

「まあ、頑張るしかないわよね。
なんてったって、青慎のためにはこの冬お金が要るんだから。
辛くっても、割の良いバイトならえり好みしてられないわ」
できの良い弟の教育費にはお金がかかる。
良い塾に通わせているものだから、普段のお月謝に加え、冬に3期予定されている集中講座の代金をまとまって工面するとなると、薄給の下級役人の父の収入だけでは首が回らない。

「青慎、安心して! お姉ちゃん、頑張るから。
がっつり稼ぐわよ!」
と、夕鈴は地平線まで広がる広大な農地の真ん中で、大きな声で叫んだ。



* * * * * * *

ヒッチハイクで農家の軽トラに拾われた。

「本当は荷台に人、乗っちゃいかんのだけど…
警察にみつからんようにな」と言われながら
後ろの荷台に乗せてもらった夕鈴。

延々と続いたかぼちゃ畑。

地平線のそのまた向こう、
その畑の真ん中に、こつ然と現れた、白い建物群。

夕鈴は目を疑った。

白いビル群は近代的で、区画整理された広い道路、瀟洒な街頭、街路樹まで整えられたその一角はまるで映画のセットのようにも見えた。

「な、なんで、こんなとこに――ビル群!?」

「驚いたかの?
ここ、白陽研究都市は今や――王宮ともよばれておる」

ヒョイっとお爺さんがハンドル片手に夕鈴の方を振り返る。

「――王宮?」

夕鈴は胡散臭げにお爺さんを見つめる。

あっという間に軽トラはその都市の中心にあるひときわ高いビルの前に留まった。

キキキッと急停車する時に、夕鈴は荷台から転げ落ちそうになって
思わず必死に軽トラの端につかまった。

「ほいっ、ここじゃ、ここ!
あとは一人で行けるじゃろ?」

「ありがとう、お爺さん」

「お前さん、頑張るんじゃぞ?」

シッシッシと、人をくったように嗤うと、ハンドルを握った老人は軽トラを発進させて、あっというまに遠ざかって行った。

夕鈴はビルを見上げた。

白亜の神殿ならぬ研究棟…。
中に入ると、ウロウロと白衣を着た科学者。
エントランスから入ると、最新の設備のビルはどこもかしこもピカピカで、おちついた照明に囲まれると、外のカボチャ畑とはなんだか別世界のように思えた。

こんな田舎の畑の真ん中に――と夕鈴は驚きを隠せない。

「…と、とりあえず。
面接、よね?」

おずおずと、エントランス正面にあった受付ブースの前に立つ。

「いらっしゃいませ
画面を軽くタッチしてください」
と液晶画面に表示されている。


これでも一応、都会っ子よ?
これくらい使えこなせなくてどうするの!

夕鈴はおずおずと指を差し出し、タッチパネルモニターに
父さんのメモに書かれていた部門コードを入力し
受付画面のボタンを押した――。


* * * * * * *


二人の人間を前に
夕鈴は、硬直しながら青ざめ佇んでいた。


言葉が途切れたとたん、
しん、と静まり返る室内。


「――以上です」


「…」

足元を見ていた夕鈴は、
無言の圧迫を感じつつ、チラリと顔をあげる。

途端に、無表情な鋭い視線に射抜かれ
夕鈴はびくり、と肩を震わせた。

視線の先には冷たい表情をした男が椅子に座っている。
先ほどから手足は冷たくなって、ドクンドクンと心臓の音だけが響いていた。

先ほどから恐ろしい空気に晒されていた夕鈴は

『こんな面接って、あり?
まるで取調べみたいじゃない――』と
ビクビクしながら心の中で反芻していた。

「…と言うわけで、汀夕鈴どの。
あなたにはこの方の嫁として、過ごしていただきたいのですよ」

目の前に座りジッと夕鈴を見つめていた男の傍に立つ男の口から、説明が続けられた。

「――はぁ?」
夕鈴は汗をにじませながら、白目を剥いた。

ビルの最上階をぶち抜いた広大なワンフロア。

落ち着いた室内は重厚かつ簡素な設えでありながら、
どれもこれもお金がかかっているのが分かる。

シンプルなコンピューターが置かれた大きな執務机。

部屋の中央に据えられた、あたかも玉座のような大きなイスに
大農王と呼ばれる黒髪、長身の若い男が座っている。


その視線は冷徹で、凍り付くようなオーラをまとっている。

李順と名乗った男が言葉を続ける。

「――詮索は一切無用。
貴女は雇われていることを伏せ
表面上、嫁として暮らすだけです。
そう難しい仕事ではありません」


(む、難しくないとかの問題じゃないわっ!
――怪しすぎる)

もう一度勇気を振り絞って顔をあげた夕鈴の方を、紅い瞳でジロリと睨んでいる。

背中がゾッと凍り付く思いがする。

『怖い、こわい、こわいこわい!!
…この黒髪の人、何っ?
怖い~~っ!!』


「これまでのご説明通り。
あくまで、この方の縁談除けのための『バイト嫁』です」

メガネをかけたウエーブのかかった茶色い髪を後ろで一つに束ねた、生真面目そうな青年が夕鈴に重ねて冷静にかつ端的に説明を加えた。

ここいら一帯は白陽と呼ばれ、地平線の端から端まで見える土地はすべてこの珀家の持ち物だという。

昔から豊かな風土に恵まれ、農業が盛んな土地、白陽。

兄亡きあとこの土地を受け継いだのが、冷酷非情の狼陛下、珀黎翔と呼ばれる目の前の男の人だと説明された夕鈴は、田舎の収獲バイトに応募した自分が、なぜ今ここにいて、李順という人から有無を言わせず説明を受けているのかも分からず、困惑をしていた。

大農王と呼ばれる珀家の歴代当主の中においても沈着冷静で明晰な頭脳を持つ彼は、世界的にその手腕を買われている…らしい。

行き詰まった兄の経営を引き継いだ珀黎翔は、次世代コンピューターを積んだハイテク耕作機械導入を強みに、やる気を失い荒れ果てていた農地を整備し、新たな開墾をすすめた。灌漑用水路の整備の分野でも成果をあげ、短期間で耕作面積を飛躍的に広めた。
また珀家の所有する広大な土地をバックに農業、畜産、林業のみならず、食品、繊維、燃料のジャンルに手を広げ、精力的に土地改良、育種、バイオ燃料、バイオ医薬品を扱う部門を傘下に取りこみ、多岐に渡って精力的な経営を推し進め、白陽の地を復興させた若き経営者であった。

夕鈴にとって、なんとも壮大な話であった。

「――以上のように、若き実力者である陛下の周りには、このところ縁談話が絶えません。
そこで、『収穫期のこのくそ忙しい時期』だけでも業務に集中できるよう、
けん制として『偽の婚約者』バイトを雇うことにしたわけです」

いっきにまくしたてると、李順という人は、パタン、とフォルダーをとじた。


あまりの話にあきれ返りながらも、李順という担当者と狼陛下の二人のド迫力に気圧されながら夕鈴は呆然と話を聞いていた。

「…ええと。それは、つまり。
バイトで、偽の、お嫁さんを演じろってことですか?」

混乱しながらも夕鈴が少しホッとしながら返答した。
するとおもむろに目の前の黒髪の青年が口を開く。
端正な造作は周囲の空気を凍らせるほど冷たい表情。

「――なんだ、手を出してはいかんのか」

『ゲッ』と夕鈴は吹いた。


こんな顔して、冗談、言うか――!?
それとも、本気ぃ――――???


「…」
ジッと紅い瞳で見つめられ、
夕鈴の背中には汗がダラダラ噴出した。

「短期間でお帰りいただく方です
跡継ぎ問題にでも発展しては少々面倒ですので」

メガネの人が、黒髪の『陛下』と呼ばれる青年に向かっていなす。


「…つまらんな。
せっかく愛らしい兎が来たものを―――」

『なんだか…肉食なかんじ~~~っ!!』

カタカタ震えながら固まった夕鈴。

逃げ腰な夕鈴に、李順が最後のダメ出しをする。

「バイト料は破格の待遇です――」


ハッと夕鈴の表情が引き締まる。

(そ、そうだった――可愛い青慎のために、
お金が要るんだ…!)

夕鈴が踏みとどまったのを見ると、李順は頷き、念を押した。


「では。宜しいですね」

夕鈴は「え、?」とメガネの人に向き直る。

『もう話すこともない、決まったこと』とばかりに言葉を締めくくった。
それは有無を言わせぬもので、夕鈴は自分が生贄に決定したと知った。

「ちょ、ちょっと待ってください。
私、まだこのバイト、
やるともやらないとも――」

「…夕鈴殿?」

李順さんが顔を近づけて、静かにつぶやいた

「ここまで話を聞いて、
あなた
まさか断れるとでも思っていたのですか?」

ピラリと一枚の書類を広げて見せられる。

「…あなたの父上のサインです。
親権者による契約承諾書、それから前金支払い済みの証書です。

今更――逃げられませんよ?」

ざっと目を通すと
汀岩圭が闘鶏場でスった代金の肩代わりを前金として借金した先にドッサリ支払い済み、ということになっていた。

「前金は支払い済みです。
あなたにはその分、しっかり働いて返してもらいますよ」

『ええええーっ! 選択の余地なし?
あの、くそ親父ぃっ!!』

と心の中でちょっと悪い言葉で父をののしってしまった夕鈴。

「では、あと少しこちらも打ち合わせがありますので。
先ほど通したお部屋で、お待ちください」

とポイっと部屋の外に出されてしまった。

面接の前に、しばらく待たされた部屋の方へとぼとぼ歩き始めた。

部屋の外に出ると、あの一種独特な凍えるような雰囲気がようやくほぐれた。
夕鈴は深呼吸をした。

あの、恐ろしい人の、花嫁――?

『――ムリっ!!
あんな怖そうな人の、偽のお嫁さんだなんてっ!!!』

と、クルリと後ろを振り返る。

『断ろう!
辞めよう、今ならなんとか…』
夕鈴は拳を握り締め、足音を立てないように急いで廊下を面談した部屋の方へと戻って行った。


*
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カボチャ、かぼちゃ、南瓜

先日、隣人が子連れで10キロもあるようなカボチャを畑で子供に選ばせてハロウィンの飾り用に買ってきた、とウンザリ…ゴホゴホ、疲れた様子で語っていたのを思い出しました。子供は「もっと大きいのがいい!」と駄々こねてて、私が「いや、これ以上の大きさだとお母さん、持ち運べないし無理だって…」と、説得してきました(−_−;)アメリカの広大なカボチャ畑でカボチャ選び…子供には最高に楽しいイベントですが、大人には選んだ南瓜を持ち帰り、カービング(カボチャくり抜き作業)まである&ハロウィン衣装の調達、飾り付け、当日の子供達の相手…頑張れ!お母さん達!な、イベントです。時々、悪ノリなお父さん達が家の前のベンチで衣装や血塗りのメイクまでして、ゾンビとかの人形のフリして、子供たちが近くに来たら叫んで脅かす、なんてこともありますが、世のお父さん達の大半はお母さん達に丸投げイベントなんで(ー ー;)カボチャ畑の悪夢、まさか夕鈴バージョンにお目にかかる日が来るとはw楽しいお話、いつもありがとうございます(*^_^*)

NoTitle

現代パラレルの農場設定がここまでハマるとは思いませんでした・・・・(笑)
兎さんだし、畑に迷い混んじゃっても仕方ないですよね!
狼の経営する農場•••••絶対罠だー(>_<)

Norah さま

わー、こちらこそ良いお話をありがとうございました
現地レポ楽しかったです
ブツがブツだけに、くりぬくのも一苦労ですよね…
お父さまがたは、お遊びですけど
お母様方はほんとうに大変です(笑

夕鈴さんや、カボチャどうしよう?

うりうりさま

なんにでもマッチする原作は偉大なり(笑

> 狼の経営する農場•••••絶対罠だー(>_<)

罠ですよ
ぜーったい、罠。(笑
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秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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