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SSS あやとり

お仕事で疲れた体を癒す糖分を少々。
もう何がなんだかラリった一発書きにて失礼です

明日はスパークですね
ご参加される皆様、どうかHAPPYにお過ごしくださいませ!


【原作沿い】【SSS】【微糖】

* * * * * *
あやとり
* * * * * *


いつものように夜。
後宮を訪れた黎翔は、
唯一の妃とすごろくを楽しんでいた。

夕鈴が手を動かすたびに、チラチラと垣間見える
袖の隙間から、妃の手首に赤い糸が幾重にも巻き付いていたが気になってしょうがない。

その間にも、ゲームは終盤戦に入っている。
「…二、二、二、出ろ――!」
夕鈴がサイコロを握った手に念を込め、賽を振れば、みごとに二の目が出て、
夕鈴が上がった。

「…やった!
勝ちました」

黎翔は残念だ、という表情をしながら、あらためて先ほどから気になっているものを指差した。

「…ねえ、夕鈴。その赤い糸って、何?」

夕鈴は、えー?と声をあげて、
ああ、これ、ですか!
さっき、毛糸を見て、思いだしながらやってたんですが
へーかがいらしたので、慌てて手に巻き付けたまま
すっかり、忘れてました、という。

「えっと、それで、何をしてたの――?」
小犬のほほえみで尋ねれば

「へーか。あやとりってご存知ですか?」
と唐突に尋ね返された。

黎翔は「え?」と目を丸くした。

…糸か。そういえば、昔子供のころ
時間つぶしに凝りまくった時期もあったかな――。

勝負のついた双六台を横へどかすと、
夕鈴は手首に巻いていた長い糸をクリクリっととりはずし、両手の指にかけて、広げて見せた。
「この糸で遊ぶんですよ?」

あやとり糸を広げて、夕鈴は得意満面。

夕鈴は(へーか、やっぱりこんな庶民の遊びなんてご存じないんだわ)と思ったのか。
妙にお姉さん風を吹かせて、いろいろ得意げにやってみせてくれる夕鈴の姿がかわいくて、嬉しくなった黎翔は、そのままうなづきながら説明を聞いていた。
「こんなふうに輪にした糸を指にひっかけて
いろんな形を作る遊びなんです。
単純なんですけど…これはこれで、結構奥が深いんです。
今日はうっかりはまっちゃって…」

と夕鈴はくりくりと糸を操り、
「まずは、箒、でしょ?
これは簡単なんですよ。
それからハシゴも、1段から、順番にお見せしますね?」
とブツブツいいながら、
器用にいろいろな型を作って見せてくれる。

「…それで! ここからなんですが。
どうしても、一人でうまくできないんです――
へーか、すみませんが
手を貸してください!
ほら、私の小指にかかってる糸に、
へーかの小指をひっかけてですね…」

言われたとおり、従順に手を動かす。

次はここから内側の糸をかきわけて
こちら側につまんでください――、と
額をよせて、覗き込む。

促されるがままに黎翔が手を貸せば
夕鈴は「――ん、ん! できた!!」と花がほころびるように笑みを浮かべる。

「やった!
できました!!」

とはしゃぐ姿が、あまりにも可愛らしく

「…わが妃は欲がないな」
と黎翔が笑えば

「ヘーカのお手をお借りするなんて、
この国一番の贅沢です!」
と夕鈴は鼻息荒く答えた。

…贅沢?
そんなんじゃ、ない

黎翔は少し意地悪な気分になった。

「あやとりって、一人でやるものなの?」
と尋ねた。

「いろいろです。
連続して一人でいろいろな型をつくるのもありますけど、
二人で交互にとりあって対戦する『二人あやとり』もあります。
こうやって最初に作った型から、次の人がうまく糸をとっていって
相手の手から外して自分の手の中で張っるんです。
その時形が崩れたりほどけちゃったら、負けです」

「ふうん
面白そうだね」

「…陛下、退屈じゃありません?」

「うん、楽しいよ。もっと教えて」
と無邪気に声をかければ、
「じゃあ、教えてあげるから、優しいのからやってみましょうよ!」という。

「うん、お願い」

夕鈴は『簡単ですから、初めてでも、すぐ覚わりますよ』といいながら始めた。
黎翔は長い指を器用に動かし、夕鈴の指示通りに糸をすくう。

彼女の細く手白い指が、目の前で糸を操る様子に、黎翔はじっと見入っていた。

指が触れ、また離れる。
真剣な夕鈴は、意に介さない。

すぐに難易度は上がって行った。

「へーかって。
実は…負けず嫌いですね」

「…そうかな?」
ハハ、と笑う。

「そうですよ。
全然、負ける気ないじゃないですか!
もう私も手加減しません!」と宣戦布告する。

「…え?
じゃあ、もし夕鈴が勝ったら、なにか私におねだりしてくれるの?」
黎翔は嬉しそうにパタパタと尻尾を振った。

なにしろ、欲のない妃は、
黎翔に「ねだる」ということがない。

「…おねだりは、しません。
ただ…こうして一緒にあやとりしてくださるだけで
十分ですよ」
と夕鈴は顔を赤らめて答えた。

「じゃあ、…私が勝ったら、ねだっても、いいの?」

「陛下にねだられて、私が叶えられるものがあるとは思えませんけど…」

「大丈夫。
じゃあ…かなえてね?」

「私にできること、ですか――?」
困惑し、恥ずかしげに見上げたその瞳に見つめられ
ふいに黎翔はきゅん、と胸が痛んだ。

――黎翔は、思わず自ら墓穴を掘ったと悟った。


夕鈴の手元にある糸に小指を絡ませて、引き寄せる。
「――そのように
綾でからめとり、
夫を操るとは。
君は、罪な妃だな」


「え?」

みごと兎の両手をあやとりの糸ごと絡め取った狼は
そのまま瞬きもせず、至近距離に顔を近づけた。


「ここから、
…どうしたら、よい?」

「…っ。て
へーか…
そんな繰り方しては…
続きません――」

「続けられない?
もう、ダメなの?」

ダメ、と言われれば、何か方法を考えて
続けなければ、と思う負けず嫌いの妃。

「いえ。
その
…続け、て…ください」

兎が真っ赤になって答える。

黎翔は意地悪にも指を絡めたまま、形作る。
吐息までかかりそうな距離で二人は見つめ合ったまま。

「…君の番だ?」

「で、できませんよ!へーか
…手を。離してくださらないと
続けられません」

いたたまれず、夕鈴は視線をそらした。


「できない――?」

…手を握って
見つめ合って。

赤い糸で絡め取られた二人の間に
自然と引力が働いた。


黎翔は、
ゆっくりと顔を近づけて

「――そうか。
…では。遠慮なく褒美をいただくとしよう」



*

甘い口づけだったでしょうか?

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