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恋の裏ワザ

100万アクセス達成記念(2)

華海空さまよりいただいたリクエストです

初めてのリクエスト、寄せていただき嬉しいです。
ありがとうございました。

-----■ お題 ■----
老子から恋の裏技を教えてもらうことにした夕鈴が
陛下に対して実践、というような感じで
--------------------


華海空さまに捧げます。


【バイト妃】【ひそかな恋人】

* * * * * * * *
恋の裏ワザ
* * * * * * * *


後宮の掃除の時間。

ごしごしと床を磨く。

汗をかいて体を動かし、
一心不乱に働けば
心の汚れも落ちる。

(うーん。この汚れ…)
気になる染みを、ゴシゴシこする。

ふと目の前に影がおちているのに気が付き、
夕鈴は顔をあげる。

張老子が目の前に立っていた。
「おう、掃除娘。あいかわらず熱心じゃな」

額の汗を手の甲で拭いながら、夕鈴は老子を見上げた。
「老子、いらしてたんですか!」

夕鈴はやはり、先ほどの染みがきれいになっていないと、
雑巾を一度ゆすぐと再度チャレンジする。

「最近、陛下のご様子はどうじゃ?」

急に聞かれて、夕鈴は
「えー? 特にお変りありませんよ?
いつも通りお忙しくて…。
ここ三日間、お顔も見てませんし…」
…と言いながら、ブラシで床のしつこい染みをこする。

(――ははあ、だから。熱心に床など磨いて)

ニヤリ、と老子は笑った。

「…浮気、じゃ。浮気。
そういえば三日前に訪れた隣国の訪問団の中には、
美しい姫が混じっておった――」

「えっ?!」

夕鈴は夕鈴はハタと手を止め、
ガバっと顔をあげた。

「それ…ほんとですか?」

「いや、高貴なお客様となれば、
わしなぞチラとも見えるようなことはないが、
噂じゃ、ウワサ――。それはそれは、美しい姫だと
今、王宮内で働く者の間は、それでもちきりじゃ!」


(――そっか。へーか。
お忙しいから…後宮に来る暇もないって聞いてたのは
外国のお姫様と――


…イヤイヤイヤ。
だからって。
私がどうこう言える立場じゃないでしょ?)

夕鈴は膝をついたまま、雑巾を置いて
ハァとため息をついた。

「少し前は、なんだか妙に甘酸っぱくイチャイチャしておったが――
お前さん、気をつけんと陛下の愛を繋ぎ止めてはおけんぞ?」

「イチャイチャ、なんて…!?」
夕鈴は顔を赤らめて反論した。

「――しとったじゃろ?
この後宮の生き字引といわれとる
後宮管理人のワシの眼はごまかせんぞ――?」

ニタリと笑いながら伺うような老子の目つきに、ますます夕鈴は顔を赤らめる。


――陛下に『好きです』って伝えて。
陛下が、私を好きって、…そう言ってくださったのは…確か。

だけど、ここではいろいろあるから。
『やっぱり私が陛下を好きっていうのは
ナイショにしてください』って、私はお願いをしていた。

交わしたのは口づけと。
『愛してる』って言葉だけ。




「まっ…まだっ! 何もありませんっ――!」

「――ほう…。
――『まだ』?」

したり顔で老子が…。

「違います
私はバイトですってば――」

「まあまあ、
しっかり、イチャイチャせんかい!
お疲れの陛下を癒すのが
お前さんの仕事じゃ」


「――でも。
外国のお姫様のお相手って…。
きっとお忙しいんでしょう。

後宮には、お顔も見せて下さいませんし」


「まあ、そうじゃな。
そこは、ホレ。
この恋愛相談請負人のワシが
ちょっぴり裏技を伝授してやろうて」

張老子はトコトコと机に向かって歩いてゆき
手に持っていた抱えきれないほど沢山の書物をドサリと置いた。

「ほれ!
お前さんも
ちょっとそこの椅子へ座らんかい!」


かくして、恋の裏ワザ伝授の講義は
密やかに行われたのであった。

* * * * * * * *

『恋の裏ワザ、その一じゃ。
まず、足を向けていただかなければ、話にならん!
足を向けさせるために、妃が寂しがっていると伝えるが良い』

『えー!? お忙しい陛下に…そんなこと、できません』

『できません、じゃない!』

『だって、今日は大掛かりな晩餐会があると…』

『やるのじゃ! 
後宮というところは、何千もの美女がひしめきあい
陛下の御寵愛を得る為、必死になって陛下の気を引くための駆け引きが行われた場所じゃ!
つまり、陛下に足を向けさせることこそが、まず妃の第一の仕事といえんか?
おまえさん、床など磨いておる場合ではないぞ』

というわけで「妃の気分がすぐれず、老子との講義は早めに終わらせた」という連絡が王宮へとんだ。

『おまえさんの調子が悪いと知れば、あの陛下のことじゃ。
今日こそは後宮へお帰りになるじゃろう』

『…嘘をつくのは気がひけます』

夕鈴がジト目で見上げると
老子は腕組みをして余裕たっぷりに答える。

『嘘ではないぞ?
気分がすぐれとらんのは、事実ではないか。その顔色!
陛下のお顔を見れば、すぐに良くなるかもしれんのぉ
ほっほっほ。
ほれ、お前さんは、すぐ部屋へもどるんじゃ』

 * * *

老子の思惑通り、
晩餐会を早々に切り上げた黎翔は、そそくさと後宮へと顔を出した。

シャランと鈴がなり、遮る幕が払われ、黎翔がひょっこり顔を出す。

三日ぶりのその姿に、
寝台に横になっていた夕鈴はドキンとときめく。

「…夕鈴?
具合が悪いと聞いたが――」

夕鈴はぴょんと体を起こし、あわてて寝台から降りようとする。

「ああ、いいから。そのまま。
横になっていて――」

「申し訳ございません」

心配げな黎翔の顔を見るにつけ、仮病で騙したと夕鈴は心苦しくなるばかり。

『その二

次は二人の距離感が大事じゃ!
パーソナルスペースと云って、他人を許す距離感がそのまま心の壁を現しておってじゃな。
半間(約90cm)、つまり三尺以内に近寄られたとき固くるしい緊張がある場合は、二人の関係は、まだまだじゃな…。
逆に一尺半まで接近できれば、かなりの親密度と言えるぞ!

じゃから、まずは手を伸ばして届くくらいまで、
お主からさりげなく近づくのじゃ!』

上半身を起こした夕鈴が、あわてて上着を肩に打ち掛けると、
黎翔はニコニコとしながら寝台の脇に置いてある椅子に座った。

二人の距離は、一間(1.8m)ほど。
互いの顔を見るにはちょうど良いが、親密な距離とはいいがたい。

「よかった。思ったより元気そうで」

「ご心配をおかけして申し訳ございません。
おかげさまで、もう大丈夫です」

人払い済というのに、なんとなく他人行儀な言葉と態度。
二人の間には、少しよそよそしい空気もながれ、
夕鈴はふぅとため息をつく。

(そんなときは…)

老子の言葉が浮かぶ。

『その三。
目が合あったとき
興味があるか無いかのサインを見分けるんじゃ!

興味のあるときのリアクションといえば、
・なんどもちらちら見返してくる。
・恥ずかしそうに目を伏せる。
・いきなりテンションがあがる。
といった感じじゃのう。

反対に、嫌な顔をされたり、シカトされたときは、
興味がないサインじゃ。

――よいか?
しかと見分けるんじゃ!』

夕鈴は、気を取り直し黎翔の顔を見つめた。

(陛下は、どんなサインを出していらっしゃるかしら…?)

「…ん?」

夕鈴の視線を感じ、
黎翔はやぶからぼうに眉間に皺をよせ顔をしかめた。

(!嫌なお顔を…。

陛下はやっぱり…。
きれいなお姫様といたかったんだ。

いくらラブラブ夫婦演技のためとはいえ、
大事な晩餐会を切り上げさせたものだから
怒っていらっしゃるのかも。

もう私に、興味なんか――)

夕鈴は少し悲しくなった。

黎翔はゴソゴソと袖をまさぐり、探り当てたそれを取り出す。

目の前に差し出したのは、赤い鱗模様の皮に覆われた
赤い丸い木の実の房。

「――ほら、これ。お見舞い。
ライチっていってね。
晩餐のとき出された、珍しい南国の果物――」

子犬の笑顔で取り出した果物を持って、机の方へと遠ざかる。

無言のまま、黎翔は赤い粒を一つ指で房から取り外した。
眼をそらし、こちらを向こうとしない。

指でつまんだライチの皮を剥く。
つるりと白い果肉が現れ、黎翔は赤い瞳でその果肉をじっと見つめていた。


二人の距離はさらに遠ざかって
よそよそしい空気が流れていた。


夕鈴はあわてて、寝台から降りようと上履きを足でさぐった。

「あの、もう、その。
陛下のお顔をみたら、すっかり元気になりましたから…。

果物をお食べになりたいのなら私がお剥きいたします。
手が汚れますよ、陛下。

それに、お茶、ご用意いたしましょうか――」


「お茶は、いい。
元気というなら――」

黎翔は恥ずかしそうに照れ笑いをすると、
チラチラと夕鈴を見返し

「――笑って」
と。

「え?」

夕鈴はきょとんとした。

「…だって夕鈴。
なんだか、さっきからすごく怖い顔してて…

ここしばらく来れなかったから、
僕のこと、怒ってるのかと――」

「そんなこと、ありませんよ。
嫌われたのは、私の方かと――」

夕鈴が顔を伏せると、おもむろに手を伸ばされた。

「…私のこと、怒ったりしていない?」

「怒るだなんて――」

「寂しかった?」

「…はい」

「会えて、嬉しい?
…笑ってくれる?」

「…はい」
夕鈴は頬を染めて、微笑んだ。

黎翔は寝台の傍らに戻ると、夕鈴の耳元にはしゃいだ声で囁いた。
「これ、美味しいんだよ」
剥いたばかりのライチを夕鈴の口へと押し込んだ。


白い果肉を口に含むとほんのり甘いさっぱりした味が広がる。

「…美味しいです」

夕鈴は嘘をついたのに、陛下が本当に自分を心配してくれていることが嬉しくて。

「…でも、仮病なんです。
私、嘘ついて」
ポロリと涙を流すと

「うん、分かってる」
黎翔はこくんとうなづいた

「仮病で僕をさそってくれるだなんて…
嬉しいや」

黎翔はその指先で彼女の唇に触れ
とたん、
覆いかぶさるように影になった。

「…うん。やっぱり、お茶より。
こっちのがいい――」


二人の距離は0。

超・至近距離で抱きしめられて――



*
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華海空さま

ご想像されていた方向とは違ったかな、と思いますが
…でも、少しでも喜んでいただければ幸いです^^
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます(*´ω`*)
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秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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