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ss 天高く、兎肥ゆる秋。

ss秋。
SNSの日記の再掲です。

【侍女さん目線】【設定はご自由に】←


* * * * * * * * * * *
天高く、兎肥ゆる秋。
* * * * * * * * * * *

気持ち良い風が吹く。

…ははは、と声が響く。

静かに控えながら、侍女はそっと含み笑いを互いに漏らす。

この後宮で男性の声が響くとすれば
それは国王以外あり得ない。

その膝の上には、今日もお妃さまが囲われている。

巷では冷酷非情と恐れられる国王陛下を、
これほどまで寛がせ、笑わせることのできる存在も他にはいない。

春の日差しのようなお妃さま。
今日は何をお話されているのやら――。

* * * * * * * * * * *

「陛下っ!
こんなにいただけません!」

「君はこれが好きだと…」

「でも――こんな贅沢は
よくありませんから」

すすめられた菓子を、陛下の手ごと脇へ押しやり――
(そのようなことがおできになるのも、お妃さまだけですわっ!!)
ちょっとすねたように頬を膨らませ
(…なんて愛らしいほっぺたでしょう!!)
お妃さまはそっぽをお向きになられる。

陛下は少しお困りになられた模様。

「……」

お妃さまの髪を一房救い上げられ、口づけを…

雷でも走ったかのごとく
お妃さまは全身ビリビリと硬直されると
いきなりピョコン、と陛下のお膝から飛び降りられます。

お妃さまは
まるで熟柿のように真っ赤になられて…
なんともまあ初々しいことでございましょう。

これが、初めてのことならいざ知らず
今なお、毎日、毎日繰り返され
恥じらわられるのですから…。

愛ですわ。

…お妃さま、なんとまあ、
陛下のことをお好きなのでございましょう!!

お二人の間には誰も入り込むことなどできないと
わたくし共、間近に仕えさせていただき、いつも思うのでございます。


陛下は
目の前に山と積まれお菓子を手で押し退けて、
ほうっと小さくため息をお付きになられました。

せつない、ため息にございます――。

美しく並べられたお菓子では
お妃さまのお心を掴むことはできぬのかと
さぞ、陛下もご落胆のなのでございましょう。

わたくしどもには、分かります。
お妃さまのお心内が…。

本当のところ、お妃さまは
お菓子をお断りになったことで
陛下を傷つけてしまったのではないかと
胸にこたえておいででしょう…。

「――それならば、
ひととき。
散策でもどうか」

陛下は、お妃さまをお誘いになられました。

すると、お妃さまはいじらしく、上目づかいで陛下を見上げ
「はい」と、小さくうなずかれたのです…。


僭越ながら――正解ですわ。陛下!
実はこのところ、お妃さまは
ちょっと食べすぎをお気になさっておられるのです!

…とはいえ、そのようなご事情があるとは
わたくし共の口からなぞ
恐れ多くて申し上げられるはずもございません。

ですが、応援しております!

今日の占いでは、
お散歩やちょっとした運動がベストチョイス!
ラッキーカラーは、白!

あとは白い何かがあれば…
きっとお妃さまのお心を攻略できるはずにございます…!


もう、お傍で伺っていても
切なすぎるご表情で――

ご夫婦でありながら、
初めての恋の甘酸っぱい切なさが
今なお持続しつづけているお二人のご様子は――たまりません。

わたくしたち侍女の立場は
決してでしゃばるわけにはまいりません。
しかし、精いっぱい、お妃さまと陛下が居心地よくお過ごしになれるよう
万事において、取り計らいますから…どうかご安心なさってくださいませね。

わたくしどもにとって、お仕えすることがどれほど嬉しく、
そしてやりがいのある職場であることか…。


庭へ下りるお二人と、適度に距離を取りながら
わたくし共もお供仕ります。

最初の数歩こそ、お妃さまはご自由にご自身のおみ足でお歩きになっていたのですが、やはりそこはそれ。

あっというまに陛下に
背中から抱きしめられてしまいました。

「ギャあぁっ!」

ああ…お妃さま。
ぎゃっは、いけませんわ。
うふふ…(*´ω`*)

このやり取りがまた、いつものように甘く、楽しく
それゆえ陛下は何にもましてお楽しそうでございました。

しかし、体重を気にされているお妃さまには、いろいろストレスがかさむもの。

「陛下っ! 自分の足で歩けますっ」

「愛しい妃を疲れさせてはいけない」

「陛下の方がお疲れでしょう?
私、重いですから…」

「重くなんかない。君をこうしていると、
疲れが吹き飛んでゆくようだ――」

「絶対、重くなってますからっ――降ろしてくださいっ!」

あらまあ、なんと。ほほほ。
陛下の腕の中で運動される方など、
それこそこの世にたったお一人だけにございましょう…。

そして結局、いつものように陛下に抱きかかえられたまま
ご散策なさることになっておりました。


そこに、スイーっと
白い大きな鷺が池の方から飛んでまいりました。
そう、白いアイテム。

侍女B、ナイスタイミングでございます。

こういう小さな演出は、わざとらしくてはいけません…。
あくまで、さりげなく――が
わたくしたち侍女の仕事でございます。


白い鷺は美しく、青い空にそれは映えておりました――。
そしてうまい具合に、鷺は陛下とお妃さまのすぐ目の前を横切りました。

それまでふくれっ面をされていたお妃さま。
あっという間にその様子に心奪われ
たいそうはしゃがれました。

「あっ、陛下!
白い鳥です――!」
と指さされ、
大きくお手をお振りになられました。

そのとき、袖がはらりとめくれ
むっちりと白い二の腕が
陛下の御前に露わとなり――

その途端

陛下がその白い腕に
吸い込まれるように引き寄せられ

噛みつかれたなど――


わたくしたち
きちんと職務を全うし、他所を向いておりましたので
決して見てなどおりませんし
気が付くはずも、ございません。

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