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ss 春

SNSのトピ「春・夏・秋・冬」より転載

ルールは、簡単☆
●必ず短編の順番が、春・夏・秋・冬であること。
●読みきりであることだけです。

とあったので、書いてみました。

---------------
2014年09月09日

[春]

君はどこへいったのだろう?

後宮の一室、君の笑顔に迎えられるとばかりおもっていたのに。
部屋の主は不在で、私は少なからずガッカリしてしまう。

明るいテラスへ目を向ければ
庭は陽光に輝き、春の風がかぐわしい花の香りを運んできた。

開け放たれた扉がカタ、カタと小さく震える様をみるにつけ

『――君ならきっと。このうららかな陽気に誘われて
庭へと歩を踏み出したのだろう』と想像され、私はクスリと笑ってしまった。

案の定。

舞い散る薄紅色の花びらと戯れる
私の愛しい妃の姿。

私はそっと後ろから近づき
花の精を腕の中に閉じ込めた。

「…もうっ!」

恥じらいながら、小さくもがく

君の精一杯の抵抗すら、甘美。

「夕鈴、可愛い――」

抱きしめた君の髪が風で舞って、くすぐったい

「ちょっと、ここは寒いね…」

それは、抱きしめる口実なんだけど
君は素直におとなしくなる。


ああ、春の香りがするな

何もかもが、暖かいね。


春の陽光のような君と――このままずっと。


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