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SS 踊る陛下

二次、三次。

陛下が踊る、という一言で派生したショート・サイドストーリー。

もうどこの国のどういう設定か分かりません。
…でもたぶん、淡い恋心ただよう夫婦未満恋人設定。←


【パラレル】【盆踊り】【微糖】【設定不詳?】

* * * * * * * *
踊る陛下
* * * * * * * *

ドドン、ドンと太鼓の音が聞こえる

「あの音は?」
ふと気にになって女官さんに尋ねた。
「ああ、今日は納涼の盆踊り大会ですから…」
「盆踊り?」
「ご安心下さいませ。
お妃様にも、素敵な浴衣を仕立ててご用意しておりますよ!」

そんな前ふりがあったから、陛下から突然のお誘いがあったときも、
ああ、そういう行事があるのか、と驚くこともなかった。

「今日これから、ちょっといい?
近所の盆踊り大会、覗いてみない?」

「陛下も、行かれるのですか?」

「退屈している妃を、喜ばせることができるのなら――」

そんなわけで、浴衣を着させられた。


かわいいピンクのウサギの柄がちりばめられている。
「陛下がわざわざお取り寄せなさった生地で仕立てさせたと伺っておりますよ」
「…そうなんですか」
髪もいつもよりすっきりまとめられて
一重の薄い浴衣は頼りなくて、ちょっと恥ずかしい。

「はい。大丈夫です」
背中の帯をポンとたたかれた。
シャラン…と鈴の音がして、覗き込まれた視線を感じた途端に
ゆるゆると影が近づく。
陛下が紺色の浴衣に身を包んで登場した。

「ここからは陛下とお二人で、ごゆっくり」
ニコニコする侍女さんたちの笑顔に見送られ、
「一緒に行こうか?」と陛下が手を差し出した。

私はおずおずと手を差し出すと、陛下はギュッと握り締める

「…!」
と思った途端、握り締めた手をするりと絡められた。

指先に神経が集中し、恥ずかしくて思わず赤面をしてしまう。

「よく…似合ってる。
暗いから、足元、気を付けてね?」

嬉しくて。
視線をはずした。

慣れない下駄がカラコロと鳴るから――

その音に合わせて指先がゆるゆる絡められても、
「暗くて見えないから、大丈夫」って
息をひそめて陛下に手を引かれるまま、ずっとその音を聞いていた。

暗い夜道をしばらく歩いてゆくと
ぼんやりと提灯の明りに照らし出された櫓が見えてきた。

四方に提灯張り巡らしたそれは、あたかも結界を張ったように、
そこはまるで特別な空間だった。

すでにやぐらを囲んで輪になって、人々は踊っていた。
「一緒に踊る?」
「いえいえ! 私、踊りよく分かんないですから…」
「一緒に見様見真似、やってればいいから、とにかく輪に入ろうよ」

曲と曲の合間に陛下に手を引っ張られた。

できませんてば、恥ずかしいですよ、と
散々抵抗したが、
大丈夫大丈夫、といなされ、無理やり輪の中に引っ張りだされた。

下手で申し訳ありません、と後ろの人に
「初めてだから、ごめんなさい――?」と、かるく会釈をすると
「どうぞ、お構いなく」と、にこっとされ
ええい、やってやろうじゃないの!という気にもなった。

「僕も初めてだけど、君と一緒なら楽しいや」
曲が始まった。
陛下が見様見真似で踊りだす。

長身で人目を引く容貌で
かつ、武芸に長けた陛下は、もはや立ってるだけで絵になる。
初めての曲だからといっても、軽く手を差し引きする姿形も様になっていて美しかった。

かたや私は泥臭くって「あれっ? えっ?」とアワアワしながら踊りにもならない。
陛下がプッと吹き出しながら、手を取って一緒に踊ってくれた。


手首をつかまれてドキン、とした。

私の後ろ、腰のあたりに陛下がすり寄るように密着し
「こんな、かんじだよ」と手を重ねる。

しばらく踊っていると、じわっと汗をかくのは、
下手とか上手とかいうよりも
陛下の薫りにクラクラしてしまったからで――。

少しテンポの速い踊りになると、周りの人は「それっ」とばかりに熱狂的に踊った。
太鼓の音が鳴りやむと、手ぬぐいとひんやり冷えた氷菓が配られた。

「疲れた――? ちょっと待っててね」
陛下はトコトコと配布の列に消えると、すぐ水色の氷菓を二本手にして戻ってきた。

「どこか、腰かけて食べる?」と手をひかれ広場の隅の方にいざなわれる。

提灯で照らし出された櫓の周りだけがぼんやりと光って
足元の影を揺らした。

「どうぞ」
陛下が差し出した氷菓は冷たくて甘かった。

二人で無言で櫓の明かりを眺めていた。

「…夕鈴の食べてる方のが、美味しそうだな?」

そういって、陛下が急に私の目の前ににゅっと顔をつきだした。

「そんなはずはありません。同じ味のハズです」

「そっかな。じゃあ、お味見させて」
陛下が食べていた氷菓を差し出すので、私も大事に舐めていた氷菓を陛下に向けた。

とたんに、ぱくん、と大きな口で半分以上かじった。

「ああ~~~! かじっちゃだめですっ!
せっかく舐めながら、綺麗に食べてたのに…」

「え? かじった方が美味しくない?」

「少しずつ大事に舐めて、長く楽しむのがだいご味でしょう?」

「そうなの?」

陛下が私の手の氷菓を舌で舐め上げたのを見て
私は暗闇の中で赤面してしまった。

「…なっ、舐めるのもダメですっ!」

「えー? じゃあボク、どうしたらいいの?」

「…大切に、食べてくださいっ!」

「大切にすればいいの?」


「はいっ!
大口あけてガッツいちゃ、ダメです!
もっと大切に、少しずつ…」


「…やっぱり君の方が甘いみたい」

暗闇のなかで陛下の瞳に提灯が映りこんで、万華鏡のようにきらめいた。

「そんなわけありませんよ、陛下のも、私のも
――んっ!?」





不意に、ふさがれたその言葉の先に

――陛下の方が、甘いって。


やっぱり思うのだけど――。



──────────────

かるく酔っぱらいな文章です

タイトルを間違えたようです。

「踊る陛下」というより
「踊らされる夕鈴」
それとも
「かじる陛下」か
「舐められる夕鈴」?――

この後どうなったかとか
あまり気になさいませんよう。

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