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SS 話しを、しよう。

お久しぶりです。
まさに立春、春めいた暖かい一日でした。皆様お元気でお過ごしでしょうか

SSというほどのものでもございませんが…。
つまらないものです。

【陛下の独白系】【リハビリ路線】
【67話の設定からのパラレル※】
※ほんのりネタバレを含みますので、コミックス派の方はご注意ください。

* * * * * * * * * *
SS 話しを、しよう。
* * * * * * * * * *

話しを、しよう。
君が許してくれるのなら。

…許してくれなかったらどうしよう?

私は、君の答えを知るのが怖い。




君と話さなきゃ、とおもって
もう何日が過ぎただろう。

何をしでかすか分からない君だから
捕まえた。

あの日、私にしがみ付いて泣きじゃくった君を
あんな思いをしてまで
手離したのは、自分だったくせに。

本当に、彼女は放っておけない――

――だから仕方がない。

突拍子もないことに平然と首を突っ込むのはしょっちゅうで
そうでなくても誰に陥れられ、危ういところへ追いやられるか分からない。

彼女はただ
まっすぐで
善良で
――何の力を持たない

ならばせめて私の目の届く安全なところで過ごさせなければ。

君を捕まえなければならないのも
私の傍に置かなければならないのも
ぜんぶ、君のせいだ


せっかく
こんな魔窟から離して
逃げ出すことができたはずなのに
――再びそんな悪夢の檻の虜にしなければならないのも。

君を捕まえて
私の傍に置くのも

君が悪いんだ、仕方がない。


私は、君に話をしなければならない

ここがどんなに恐ろしい場所なのか。
何の希望も
…一筋の光すら見出すことなどできない
地獄よりタチの悪い監獄なのか

そんなところで生まれて育ったわたしのことを

* * * * * * * * **

彼女の顔が見られない

もう十分落ち着いたと思っても
まだ時間が短かったんだろうか。

あれほどに長くて辛いと感じたのに
…まだ足りなかったのかと
今、ひどく後悔している。


話しを、しよう。

君が許してくれるのなら。

許してくれることでないと、知りながら
君をここに縛り付けたのは、私の罪

だけど

それもこれも、
ぜんぶ君のせいじゃないのか? 夕鈴。

* * * * * * * * **

このままでは話しにくいというから
念をおした
「そっちに行ってもいい?」と
極力やさしく…それは、自分の気持ちをなだめるためでもあるんだ。

今日はゆっくり話がしたい。
私のことも。
なにもかも。





「――寒いんですか?」と彼女が私を見上げた。
「え?…ああ、うん」
彼女の瞳に見つめられると、ホッとする。

ギュッと抱きしめる。
トクトクと鼓動が伝わって、あたたかいぬくもりと好い匂につつまれた。

「まだ、寒いですか?」
「うん――」
そう。
寒かったんだ。



ずっと孤独だった。
こんな場所だから――これからも一人でいいと
こんな思いをするのは私独りで十分だと、思っていた。

友も
愛も
血のつながった肉親の情愛すら
嘘と欺瞞と虚実に塗り固められ
利用され
傷つけあう道具に成り下がる。
…そんなものは、いつでも切り捨てられる対象だと
割り切っていたはずだった。

私の記憶の中に「あたたかい家庭」という概念はない
王族。血のつながりは平然と互いの命を狙う最も身近で性質の悪い因縁であり
常に細心の注意を払うべく用心の対象だ。


私の話しなんて
君は面白くもなんともないだろう

なのに、なぜ話す気になったのだろう


王宮は魔窟だ。

なのに、どうして君をまたここに連れ戻してしまったんだろう。


抱きしめた君から伝わるぬくもりが
私の言葉の背をおした

夕鈴
私は、君のぬくもりが、欲しかったんだ。


君はそのまま
私の長い長い、話を
静かに聞いてくれた。


君の表情は何一つ見えなかったけれど
小さい掌のぬくもりは
ずっと、私の背中にあって
小さく頷くたびに、優しくさすられるたびに
私の心は一つひとつ、軽くなっていった


長い長い、話を
私はつづけた。

私がどんな男なのか

君の目に入れなかったことを
耳に入れたくなかったことを
君を遠ざけた理由も

なにもかも洗いざらい話すのには

とてもとても長い時間がかかった

けれど
つかえていた心を
君のぬくもりが溶かしてくれたから

私はぜんぶ
素直に話すことができたと思う。


最後の言葉が消えて
もうどれほどの時間が流れたのか

「陛下」

小さな君の呼びかけに
此方の世界に引き戻されてはじめて
私はようやくすべての言葉を紡ぎ終わったことに気が付いた

何もかも話せば
君はきっと私から離れて行くだろう。
二度と私の手をとってはくれまいと
――わたしはそれが怖かった。

怖くて、捕えて、檻に入れ…



全てを無くすつもりだったのに

私は今、今までになく満たされていた


「陛下は
ひとりぼっちで、寒かったんですね――
でも
これからは、
私がずっとお傍にいますよ?」

「君が居てくれるというのなら
もう、寒くない」

強く彼女を抱きしめると、
彼女はおずおずと私を抱き返す。


もう
話すことは
何もない

と思ったら

「――あ、でも。
もう私、妃でもバイトでもなかったんでしたっけ!
お邪魔なら――」

と云うなり、彼女はスクッと立ち上がった。


ちょっと待った。
話し、聞いてなかったの――!?


(Fine)




凍り付いた心を
暖かい涙が溶かす
というイメージで書きはじめたのに
最後に夕鈴さんが、やらかしてしまいました。





<近況>

最近あまり書けなくてすみません。

半年以上前から、忙しいとは想定し覚悟もしていましたが
想像以上に忙しくて驚いています(笑


小説を書きためるファイルをみたら、2014年12月で止まっていました。
すみません、1か月以上空けたのは初めてかもしれません…。

水面下では、プチオンリー公式アンソロさんの原稿や、織座舎のパラレルアンソロジーや、単行本の加筆修正等も書いたりしていたので、全く書いていなかったわけではないのですけれども、それにしても酷い惨状です。

(話ついでに)ご報告です
パラレルアンソロジー、とらさんで予約が始まりました。
執筆陣17名、陛下×夕鈴のパラレルストーリー満載。いろんなシチュでお楽しみください^^
(手前味噌で恐縮ですが)まさかの夢のような企画が実現しちゃったものですから、スゴイ方がご寄稿下さって、ものすっごいですます。お気が向いたらお立ち寄りください。

実のところ、アンソロはすごい方々のお話し拝見するのに夢中で
自分の原稿は、というと…久しぶりに難産でした。(爆

公式アンソロさんの原稿はするする~っと普段通り出てきたのに
現パラのほうは2か月かかりで、珍しくかなり書きなおしました(たぶん半分以上はデュラックの海に消えました)。

当初、全く想定していなかった設定がすごい伏線になって「なるほど、そうきたか」と。期間をかけると面白く発酵するものですね~(笑)
冷静になって考えると、ギャグ路線はけっこう何度高いかもしれません。

甘いお話しを書きたいけれど
もうちょっと生活と両立するまで封印?

ではどうか皆様お元気でお過ごしくださいませ

*
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春立ちぬ

昨日に引き続き。
サーブ、いきまーす!


【微糖】【春の予感】――予感だけ? だけ。(コックリ)
【67話原作沿いパラレル※】ネタバレを含むかというとそうでもありませんが、念のためコミックス派の方はご注意ください。


* * * * * *
春立ちぬ
* * * * * *

「ゆーりん、あのね――」
こんなお顔をされるときの小犬陛下は見捨てられない。
キュンとときめいてしまう。

「――ぼく。お願いがあるんだけど」

いつのまにかさりげなくすり寄ってこられれば
つい間合いを失って、手をとられることを易々と許してしまう。

「…また、寒いんですか?」

繋がれた手を握り返す。

形の良い爪ににあわない固い皮膚。
ごつごつした陛下の手は、刀を振るう男の人のそれで、
ちょっぴり冷たい感触に、いそいで私のぬくもりを移そうと両手で包み、吐息をかけて暖める。

「…うん」
ひとしきり、私が彼の手を暖めるしぐさを
ジッと見つめながら嬉しそうに小犬はされるがままになっていた。


ふっと見上げると、ばっちりと絡んだその視線が
あんまり甘くて。

…思わず居た堪れないきもちになって、手を離した。

ちょっと困ったように眉をさげ、
今度は陛下は『おいでおいで』とばかりに私に向けて両手を広げて誘う。
「まだ寒い」
「…わたし、もうバイト妃じゃないんですよ」
「うん?」
「仲良し夫婦演技する必要なんて、ないんですよ」
「うーん…」
ちょっと強引に陛下は私を懐に招きよせ、ニコニコと笑って見せた。
私がそっと手を差し出すと、躊躇することなく彼はぎゅっと私を抱きしめる。

「…こうしてると、あったかいね」

陛下はとっても満足そうに、もう一度、私を強く抱きしめなおした。

「…ほんとに、いいんですか?」
「うん!…ゆーりんも、あったかいでしょ?」

あったかい、というより
恥ずかしくて顔が熱い。

冷酷非情の狼陛下。
でも実は子犬のような一面をもつことを
周囲にしられないために雇われた、私はバイト妃だった。

今はそのバイトも解雇され一介の下町娘の私は
元気でやりくり上手といういうこと以外、特に美人というわけでも、秀でた才能があるわけでもない。

それが
こんなふうに、また陛下いられるなんて
まるで夢みたいだった。

バイトを解雇され、私が傍に居られる理由もなくなった。
遠く旅も、した。

忘れることなんてできなかった。

ずっと、会いたかったヒト。

私なんかには、手の届かない…。


だから
もう一度だけ会って
『好き』って言って、
見事玉砕するのが
私のささやかな、たった一つの希望だった。


「ほんとに、こんなふうにしてて
いいんですか?」

「…許しが、いるの?」

彼はきょとんと眼を丸くする。

「だって、陛下は王様ですよ?
私はもう妃バイトでもなんでもない、
ただの…」
必死に言いかけたけど、
突然陛下がギュッと息がとまるほど強く抱きしめるから
思わず私は「グエッ」とカエルがつぶれたような声を喉から絞り出してしまった。

「へ、か! 苦しっ…」

「…ごめんごめん」
こっちは苦しいっていってるのにっ!
陛下は悪びれもせずアハハ、と笑うばかり。

突然ちょっと真面目な顔になって、私に問う。

「ぼくが寒くて、ゆーりんにあっためてもらうのに
許しなんているの?」

あんまり当たり前のように云うものだから
なんだか、私の方が逆に悪いことをしているような気にもなるじゃない。

「そうは参りません。
立場をわきまえないのは、許されないことです!」

正当な理由がないのに
陛下のお傍にいるわけには――

「…じゃあ。
ぼくのお願い、一つ聞いてくれる?」

ぜんぜん、陛下は私の言うことを聞いてくれない。
それどころか、会話がぜんぜんかみ合っていないように思えて
ちょっとムッとしてしまう。

なのに
私を覗き込む瞳はキラキラ輝いていて
楽しそうな彼はいたずらっ子みたいな表情をする

そのうえ、遠慮もなく私に無邪気にすり寄る。

(近い、近い、近いですっ!)

遠くから見ても怖いくらい立派だけど
近くの陛下は、
すっと通った鼻筋に、薄い唇
整った眉に、綺麗な紅い瞳を縁取る黑いまつ毛は長くて
女の私でも嫉妬してしまうほど、美人。

そんなお顔で、とろけるような笑顔を浮かべて
サラサラとした漆黒の髪が私の頬にふれるほど近づいて
低い声で囁くのだから――

私は言いたいことを言いだす隙さえなかった。

「あのね。夕鈴」
「はい」

「あの…」
「はい?」


「――えぇっと…」

急に陛下は挙動不審な様相を呈し、
視線を宙にうろうろと飛ばすから、
え、何か難しい事?と、ドキドキしてしまう。


「そんなに難しいことですか?
…だったら庶民のわたしになんか
ぜったい無理だとおもいます」

「っ! そうじゃなくて…」

「…じゃあ、どんな?」

国王陛下たってのお願いだなんて。
無理難題に違いない。
庶民の私になんか、かなえられそうな気がしない。

私はなんだか悲しくなってきて、気が重くなった。

「だから。その」

「はい…」
神妙に目を伏せた。



「その

あの。

お願いっていうのは
じゃなくて

その君さえ、良かったら…なんだけど。

君の正直な気持ちで構わないし

そう。
嫌なら
断ってもかまわないんだけど…

その。
つまり。
あの。
私の
――き さきに…なって
くれない?」

「きさき?」

彼はゴクンと息をのむともう一度
要点のみを言葉にした。

「わたしの妃になってくれる?」

「――あの。

つまり。



…また、バイト妃に戻れるって、ことですか?」


「そうじゃなくて!」
彼は苛々しながら叫んだ

ちがう?となると
「妃…バイト妃じゃない、妃?…って、妃です、か?
えーっと。その。バイトがとれた、妃?」

陛下は強引に私の両腕をつかんでゆすぶった。
「だから――お嫁さん、だってば!」

「バイト妃じゃない、お嫁さんのバイトって?
なんだか…難しそうですね。

…なんというか。
バイト妃レベルだって、極めるが難しかったのに…」

いったい、私は何をしたらいいんですか
お料理? もっときれいに着飾るの?
それとも…とブツブツ見当をつけていると


「――ああ、もう!!」

じれったそうに彼は叫んだ。

「だから。
わたしの、たった一人の妃、だって――」

もう!!と私の正面を見据えると

「ぼくのこと、嫌い?」と真剣な目で私を見つめた。


「きっ、嫌いなわけっ…

だって私。

陛下に好きって言って
玉砕するんだって――!? …っ!」


その日。


春の風が私を包んで、
遠くの空に、さらっていった。




*

[日記]生存確認

おひさしぶりです

何もかもが今一斉に押し寄せてきてます
引きこもり状態で音信もなく
ご心配かけておりましたら申し訳ありません

第68話は完全保存版ですね…(涙

(お知らせ)秘密の苑・刺青の男 総集編

…お知らせだけ、すみません。

春コミあわせの新刊出します~

≪新刊情報≫

■織座舎 秘密の苑・刺青の男 総集編
■パラレルアンソロジー 現パラWORLD
━━━━━━
■参加イベント
3/15春コミ 東2ホール ネ24a(黄昏博物館&織座舎)

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※イベントで織座舎の新刊をお求めいただいた方に、プレゼント。
(委託本は、織座舎ノベルティの対象外です)

2015春コミ織座舎ノベルティ

■ポストカード
 片面ホログラム加工ポストカードを新刊1冊につき1枚、どうぞ…(´ω`*)
 A:アンソロジー
 B:秘密の苑

 (数に限りがありますので、配布終了した場合はご容赦下さい)

■ペーパー(予定?薄氷を踏む思いで表明)
 お配りできればいいなぁ…と思っております。
 予定はしておりますが、万が一オトしたときはすみませんm(_ _)m





秘密の苑・刺青の男 総集編-L

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■秘密の苑・刺青の男 総集編
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概要]新書判 210頁 オンデマンド印 フルカラー表紙+ジャケット付
[イベント頒布価格]1200円
とらさん委託・予約受付中2015-02-26 情報更新
[内容]ブログ日記で綴った陛下がプロポーズを重ねては断られる一連の秘密の恋人シリーズ「秘密の苑」。王道(原作沿いパラレル)、オリキャラ登場有、小説本で中身はぎっしり文字ばっかです。
[収録作品ほか情報] タイトルロール、宣教師、豊穣の恵みを、手風琴の調べ、刺青の男、後日譚。表ブログ非公開分も含め関連作品を網羅し、大幅加筆修正を加えた総集編です。(※続・刺青の男 は含みません)

Pixiv に見本出てます。




現パラワールド(狼陛下の花嫁パラレルアンソロジー)M
とらさんで予約受付中です

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■パラレルアンソロジー 現パラWORLD
(プチオンリー「白陽国の休日」あわせ)
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総勢17名によるパラレルアンソロジー。[全年齢向け]
小説、イラストなど、いろいろなシチュで陛下×夕鈴ぎっしりです。
A5版 130頁 カラー表紙(箔押し)、本文白黒
イベント頒布価格:800円
 ※記念アンソロなので、感謝価格です。
とらさん委託・予約受付中




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Author:おりざ
秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

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