FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[日記]帝の至宝 第30話(仲野えみこ)感想・ネタバレ注意

2014年2月10日発売 LaLa DX 3月号を
二日前の本日2月8日、早売ゲットしました。

ネタバレで大変失礼ですが
お気を付けください。

LaLaDXを購入する(個人的)楽しみのメイン3本柱
「帝」、「八潮と三雲」、「恋だの愛だの」のうち
「八潮と三雲」がついに終わっちゃいました。くすん。
次号、ポチも最終回ということで寂しくなります。

そして、今日の霙雪のお天気のごとく、
帝さまは泣けてしまいました…。

■帝の至宝 第30話(仲野えみこ)
表紙のあおりは
「君と一緒にいられるだけで。」


あらすじ、感想、ネタバレ注意です。

本当にネタバレでごめんなさい。


…まだ手に入れていらっしゃらないかたは、ご注意ください。

続きを読む

スポンサーサイト

【宝物】とんとんさんからのプレゼント

2013年05月27日に 白陽国SNSの白友「とんとんさま」のお宅の 44444番目を踏ませていただいきました。

リクエストを受けていただけるということで
「白い詰襟姿にサーベルの黎翔さんと
 矢絣・袴・ブーツのハイカラ夕鈴で
 いじらしいラブラブが読んでみたい、です…」
と無茶ブリしてしまいました。

白い詰襟の黎翔さんと
ハイカラ夕鈴に

 ∑はううっ… な 作品が届きました~~!!



【少尉と女学生】



三部作の大作に仕上げてくださって感謝・感激!!

とんとんさまならではの
コミカルでキレのよいお二人。

ご相伴いただければ幸いです。





=============
とんとん さんのプレゼント
=============


いきなり鼻先に突き付けられた物を、黎翔はしげしげと眺めた。
丁寧に折りたたまれ和紙でできたそれは、おそらく手紙なのだろう。

そうやって手紙を渡される事は初めてではなかった。
自分の容姿が、異性の目を引き付けるものだと言う事は自覚している。資産家の跡取りだという身分と、海軍中尉だという立場も手伝ってか、物心ついた時からそういう誘いは決して少なくない。

ただ、目の前の少女の様子は今までと少し、いや大分違う気がした。
恥ずかしげに伏せられるか、潤んで窺うように見つめてくるはずの瞳は、睨まれているといったほうがいい程の強い光を宿している。ともすれば誘う様に息づくはずの唇は、きつく結ばれたままだ。強いて言えば、白い頬にさす赤みが同じかもしれないが、それは羞恥によるものではなく怒りによるものにも見える。

「・・・これは?」

普段なら聞くことなくあっさりと受けとっていたものをそう聞いてみたのは、目の前の少女の反応が不思議だったからだ。

「見てのとおりよ!」

再びずいっと持っていた手紙を差し出して、少女は叫んだ。

「――果たし状よ!!」
「果たし状?」

少女の言葉に手紙へ視線を落とせば、確かにその表面には黒々とした墨で『果たし状』と書かれていた。
流麗とは言えないかもしれないが、勢いのある字体は目の前の少女の性格を露わしているかのようだ。

「・・・君とは初対面だと、思うのだけど?」

矢絣の着物に臙脂色の袴。編上げのブーツを履いた少女は、どこにでもいそうな『ハイカラさん』と揶揄される今風の女子学生といったところだろか。
飛びぬけて美人というわけではないだろうが、強い意志を秘めた大きな瞳が印象的だった。ただその瞳は相変わらず自分を睨みつけているままなので、笑ったら可愛いいだろうに、とふと現状に相応しくない事を頭の片隅で考えていた。

「私と貴方は確かに初対面よ。だけど!貴女は私との勝負を受けてもらうわ!」
「・・・何故?」
「自分の胸に手をあててよく考えなさい!逃げるなんて許さないんだから!!」

少女はそれだけ叫ぶと、黎翔の胸元に果たし状を押し付けて踵を返してしまう。
栗色の髪を左右に揺らしながら去って行く姿を、黎翔は黙って見送った。




「――何がおかしい」
視線を少女の去った方向に向けたままで黎翔が呟いた。その背後の建物から、一つの影が現われる。
「・・・やられたねえ、少尉」
「うるさい・・・お前か?彼女を取り次いだのは」
「いやあ。堂々と詰所で『珀黎翔中尉に会わせて下さい!』て直談判してるのに鉢合わせたからさ・・少尉に懸想にしてるって風じゃないなあ、とは思ったけど・・・果たし状とはねえ。何やったんすか?少尉」
軍服姿のお腹を押さえながら側にやってきたのは、小柄な青年だった。幼くもみえる悪戯っ子のような表情で笑いを必死に噛み殺している。そんな様子に黎翔の眉間に深い皺が刻まれた。
「・・・知らん」
「え~そういう風には見えなかったけどなあ」
「・・・心当たりがない・・・浩大、調べてくれ」
黎翔が差し出した少女からの果たし状を受けとった浩大は、それを広げながら未だに口元に笑みを浮かべていた。
「ふうん・・・御丁寧に名乗ってくれちゃってるのか」
そこには、少女の名前と連絡先がきちんと明記されていた。それだけに少女の意気込みが感じ取られる。
その名前を眺めながら、浩大が呟いた。

「――汀 夕鈴・・ねえ・・一体どんなお嬢さんなんだか」




指定された場所は、果たし状の場には相応しいと言える河原だった。

「逃げずに来たのね」
「女性との約束は守る様にしているからね」
黎翔の言葉に夕鈴の眉根が寄る。

「・・・・貴方のその女ったらしの性根叩き直してあげるわ」
すっと構えたのは長い柄に反りのある刀身の薙刀だった。初対面の時とおなじ女学生姿だが、たすぎがけをし、動きやすくするためか、ブーツではなく足袋に草履を履いている。
「勇ましいね・・・でも、女ったらしという呼び名は心外だな。女性にそんな態度をとった記憶はないんだけど?」
「誤魔化さないでよ!アンタがあの子を弄んだ軍人だってことは調べがついてるんだから!」
「それこそ記憶がないなあ」
「あの子が軍服姿の男の人と会ってたのは私だってみかけてるわ。その白い軍服姿をね」

黎翔は思わず自分の纏っている軍服に視線を落とす。白い生地のそれは海軍のそれで確かどこに居ても目を引くだろう。
「・・・それだけでは僕だという証拠にはならないんじゃない?」
「きちんと珀黎翔という海軍少尉だっていうのも本人からちゃんと聞いてるんだから!!神妙に成敗されなさい!」
叫んだ夕鈴が薙刀を振りおろしたが同時だった。かなりの勢いで振りおろされたそれが頭上に落ちる寸前で、黎翔がするっとその身をかわす。

「――まだ、話の途中なのに、せっかちなお嬢さんだね」
「っ!」
あっさりと交わされたことに驚きながらも、すぐさま夕鈴は次の一撃となる突きを繰り出した。
それも寸前のところで交わされる。
勢いが付きすぎて態勢を崩した夕鈴が、慌てて足を踏ん張った。そのまま振り向きざまにもう一打を突きだすが、みたびそれを交わされてしまう。
「~~に、逃げ回るなんて卑怯よ!ちゃんと打ち合いなさい!その腰にさげているのは飾りなの?」
「婦女子に手をあげるような教育はうけてないんだよ。特に君の様に可愛らしいお嬢さんにはね」
「~~~」
黎翔のどこかからかいを含んだ言葉に夕鈴の頬が赤くなる。すぐさま、気を取り直すように黎翔を睨みつけてきた。

「そうやって、散々乙女心を弄んだんでしょ!あの子に謝るまで、許さないんだから!」
「・・だから、全く心当たりがないんだけど?」
「じゃあ、引きずってでもあの子の前に連れて行って謝らせてやるわ!」
今度は助走をつけながら、黎翔へと薙刀を突きだす。
「おっと」

助走をつけたせいか今までよりも早い速さで繰りだされた刀身を、黎翔は身をよけながら掌で左へと流した。
「!」
そんな黎翔の反撃は予想外だったのか、夕鈴は大きく態勢を崩してしまう。今度も倒れないようにと足に力を込めたのだが、砂利のある河川敷のため、草履がすべって夕鈴の体は倒れ込んでしまった。


「いっ・・・」
起き上がろうとした夕鈴が、そう小さく声をあげる。倒れた時にひねってしまったのか、足首に痛みが走った。
「大丈夫?」
かけられた声に顔をあげると、少し心配そうな表情の黎翔が手を差し出している。

「~~決闘相手に情けなんてかけないで!」
夕鈴が黎翔の手を払いのけて睨みつけると、黎翔が小さく溜め息をついた。
「・・・・強情だね」
「敵の手なんか借りな・・つっ~~」
一人で立ち上がろうとした夕鈴だったが、足の痛みにもう一度顔をしかめて蹲ってしまう。
「痛むんでしょう?ほら、捕まって?」
「平気よ、構わないで!」
「・・・・ほんと、強情なお嬢さんだなあ」
「ほっておい――きゃあっ」
文句の途中で悲鳴をあげてしまう。
膝裏と背中にまわされた黎翔の腕に、軽々と抱きあげられてしまったからだ。

「お、降ろして!何するのよ、触らないで!」
「・・・暴れると落ちるよ?」
暴れる夕鈴の体をあっさりと押さえ込みながら黎翔が告げる。そのままくるりと踵を返した黎翔に、夕鈴は必死に抵抗を続けた。
「降ろして!降ろしなさいってば!女性に許可なく触れるなんて非常識じゃない!」
「足を怪我した女の子を、放っておくほうが非常識だと思うけどね」
「~~~いいから!降ろして!」

「――夕鈴?」

不意に二人以外の声が河川敷に響いた。
その声に夕鈴がそちらを振り向くと、自分達にむかって歩いてくる影があった。
一人は少女で、一人は黎翔と同じ軍服姿の若者だった。

「――夕鈴?どうしたの?」
先に駆け寄って来たのは、夕鈴と同じ位の年頃の少女だ。黎翔に抱きあげられた夕鈴へと心配そうに尋ねてくる。
「あ、え・・あ、こ、これは」
少女の登場に夕鈴はにわかに慌てだした。
「ち、違うの!これは私が足をひねったから・・そ、それでこの人が勝手に!」
「ひねった?大丈夫?あ、私の家がすぐそこなんです。手当をしますので、そこまでお願いできますか?」
「ああ・・李順、彼女の荷物を頼む」
黎翔の言葉は、少女の後からやってきた青年にむけたものだった。眼鏡をかけた若者は小さく肩を竦めながらも頷いて、夕鈴の落とした薙刀を拾いあげる。

「ちょ、ちょっと待って!こ、この人のことはどうするのよ!」

未だに黎翔に抱かれたままの夕鈴が焦ったように声をあげた。
歩きはじめていた3人の足が止まる。黎翔を先導するよう歩いていた少女が不思議そうに振り返った。
「この人って・・・夕鈴、この軍人の方がどうかしたの?」
「・・・・え?」
今度は夕鈴が不思議そうな声を上げる番だった。

「どうしたのって・・だって・・あんた・・この人・・・」
失礼にあたる行為だということも忘れて、夕鈴は自分を抱きあげている黎翔を指をさした。
「この人・・あんたの相手の珀・・少尉・・でしょ?」
「・・・・・え・・?」
「だ、だって!あ、貴方、珀黎翔少尉なんでしょ?この子と付き合ってた!」
「ち、違うわ?黎翔様は、この方じゃないわよ?」
「ええ!?」



「――おっまたせ~ってあれ?取り込み中だった?」
新たな声が河川敷に響くのは2回目だった。そして前回のようにそこに居た全員の視線が声の方向へと向けられる。
「・・・浩大、遅い」
「すんませーん。なかなか口割らない強情もんだったんで・・・ほい、こいつでしょ」
黎翔の問いかけにそう軽く返事をしながら、浩大が背後にいた青年を押しだす。
浩大に押されて、よろけるように前に出てきたのは、やはり同じように軍服姿の若者だった。黎翔と同じような黒髪の青年は顔をあげることなく下をむいたままで、その顔色は青ざめてた。
新たな軍人の登場に、夕鈴は状況が全く読めず訝しげ表情になる。何が一体どうなっているのかさっぱりわからなかった。


「・・・黎翔様・・・」
泣きそうな声で少女が呟いた。
その涙を浮かべた瞳は、まっすぐに俯いたままの青年へと注がれていた。
「・・・え?」
思わず夕鈴は、自分を抱きあげている黎翔と、友人である少女、そして黎翔と呼ばれた青年を見比べる。
「え?え?・・・ええ?!」

河川敷に、夕鈴の素っ頓狂な叫び声が響いた。




辺り一面に甘い香りが漂っていた。
「はい、3匹ね、お待ちどうさん」
「ありがとう」

店主から袋を受け取った子供たちが、嬉しそうに顔を綻ばせて去っていく。
その様子を店先に置かれた椅子に腰かけてぼんやりと見ていた夕鈴のもとに、影がかかった。

「――お待たせ」
頭上から声をかけられて、弾かれるようにして夕鈴は立ちあがった。が、以前ひねった足に鈍い痛みが走って思わずよろけてしまう。
「おっと・・大丈夫?」
黎翔の力強い腕に抱きとめられる形になってしまい、夕鈴は頬を赤くしながらも慌てて態勢を整えた。
「す、すみません」
謝る夕鈴をさりげなく椅子へと導きながら、黎翔はその隣へ腰をおろす。今日は軍服ではなく私服なのか白いシャツに黒いズボン姿だった。

「怪我、まだ治ってないんだね。捻挫は癖になるからきちんと完治させないと駄目だよ」
「・・はい・・・」
優しい口調で諭された夕鈴は、か細い声で返事をした後は俯いた顔を上げようとしない。
先日の威勢のよい彼女の、うってかわったしょげかえった様子に黎翔は苦笑いを浮かべるしかなかった。

「まだ気にしているの?気にしないでいいよ、って言ったのに」
「いえ!あ、あの・・・・ほ、本当にごめんなさい・・私の早とちりで、ご迷惑をおかけして・・」
細い肩をさらに竦めるようにして、夕鈴は先日と同じ謝罪の言葉を口にした。
「君のせいじゃないでしょ?一番悪いのは、僕の名前を騙った彼であって、君はお友達の為に行動しただけだったんだから」
「でも・・きちんと確かめもせずに、勝手に乗り込んで関係のない貴方に迷惑をかけたのは私ですから・・・」

夕鈴の友人の相手は、あの時浩大が連れてきた若者だった。
彼は少尉である黎翔よりも下の階級の下士官で、異性の注目を集めるために黎翔の名前と身分を騙ったのだった。
当然そんな輩が本気で夕鈴の友人と付き合っていた訳もなく、偽りがばれる前に友人の前から姿をくらましていたのだ。

「あの子はもう大丈夫?嘘がわかって大分傷ついたみたいだけど」
「あ、はい・・でも、もともと遊ばれていたんじゃないか、って気付いてたみたいなので。いい社会勉強になったって言ってました」
「・・社会勉強か。女性は逞しいね」
「あの・・・そちらは、結局どうなったんですか?」
「彼の行動は軍人として、というより男として許される行為ではなかったからね。それなりの罰はうけてもらったよ」
「罰・・・」
その言葉をなんとなく繰り返した夕鈴に向かって、黎翔がにっこりと微笑んだ。
「―――君達は、そんな事知らなくてもいいんだよ?」

薄い唇が緩やかな弧を描いた笑顔だったのに、なぜか夕鈴の背筋に悪寒がはしった。
・・・・く、詳しく聞いたりしたら、絶対に駄目な話の気がする・・・・・

「あ、ねえねえ。ここの鯛焼きもう食べた?」
ころりと口調と表情を変えた黎翔が、夕鈴へと話しかけた。
その切り替わった様な真逆な様子に夕鈴は一瞬面食らってしまう。
「え・・と。ま、まだです」
「あ、それはもったいないよ。ここのは美味しいって評判なんだ。すみません。こっちに2匹とお茶ください」

店内にむかって注文する黎翔を、夕鈴は不思議な思いで見つめていた。

・・・・なんだかこの人・・不思議な人・・

時折見せる軍人としての表情と、今の様なまるで小犬のような表情があって、どちらが彼の本当の顔なんだろう?

「はい。どうぞ」

そんな事を考えているうちに夕鈴のまえに、ほかほかと湯気を纏った鯛焼きが差し出された。
「ありがとう・・ございます」
「うん・・・あ~やっぱり美味しいねえ」
にこにこと笑顔の黎翔が鯛焼きへと齧りついていた。
その横で夕鈴が鯛焼きを二つにわると、そこから溢れんばかりの餡が現われて辺りに甘い香りが漂う。

「・・・美味しい」
齧りつけば香り通りの甘味が口に広がって、思わず夕鈴の口元も綻んだ。
「――そうやって、笑っている方がいいね」

不意にかけられた言葉に夕鈴が顔をあげると、先程とは違った笑顔の黎翔が自分を見つめていた。

「薙刀をもった元気な君も魅力的だけど・・そうやって笑っている方がもっと可愛いよ」
「~~~~」

ともすれば口説き文句のような台詞に、夕鈴の顔が瞬時に赤く染まる。


~~こ、この人、絶対女ったらしだ!絶対、絶対そうだ!!

内心でそう叫びながら、夕鈴は赤くなった頬を誤魔化すように鯛焼きに再度齧りついた。


早く食べ終わってこの場から立ち去ろうとした計画が、足の捻挫を理由に再度黎翔に抱きあげられることで儚く崩れる事に、この時の夕鈴には想像すらできなかった。



(終)





とんとんさんの
元気な夕鈴と
少尉の男のお色気には
まいっちゃいますね…^ー^
大好きです。


え?───続き?

うふふふふ。

またキリ番踏んだら、
そのときは続きをおねだりさせてくださいませ。


とんとん様に愛をこめて。

本当にありがとうございました。

m(_ _)m

*

長髪陛下の挑発(上)

こんばんは
今日は少しお仕事早じまい。

366666HIT を踏んでくださった まみりんさん のキリリク
──────────────
■お題■
陛下が始終狼陛下で ゆーりんを甘くあやしく翻弄して
要は甘々でお願いします。
──────────────

…すみません。甘くなってません。まだ。←

【バイト妃パラレル】【ねつ造設定】【ギャグ】

まみりんさんにささげます。

* * * * * * * *
長髪陛下の挑発(上)
* * * * * * * *

「…りん… ゆうりん。
…夕鈴、次、君だよ?
―――寝てるの?」

ゆらゆら揺れてカクン、と首がおちて。
その小さな衝撃で夕鈴はハッと、顔を上げた。

「…えっ! あ、はいっ!?
やだっ、私。寝てましたかっ?」

えっと…
目の前の差しかけの碁盤に焦点があった。

「夕鈴。次、君の番」

囲碁…
そうだ。

―――陛下がいらしているのに…。

私、どうしちゃったんだろう?

慌てて頬をパチパチと叩いて目を覚ますが
頭の中がふわふわしてなんだか記憶があいまい。

「―――もう、手がない?
負けを認める?」

陛下が笑って言った。

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!
今考え中で…」

碁盤をじっと見つめるがどこをどうしたものか、
まったく頭が回らない。


「すみませんっ!」と顔を上げて、陛下を見つめた。

―――あら?

なんだか…違和感。


え?

陛下が、


長髪!??

夕鈴は内心卒倒しかねないほど驚いた。
なにが何だかわからず、碁盤に視線を落として混乱する気持ちを静めようと必死に考えた。

―――陛下が、長髪?

夕鈴はそっと前髪の陰から前方をうかがう。
陛下は腰まで達するつやつやとした豊かな黒髪を背中に流し、くつろいだ寝間着に上着を重ね目の前の椅子に座っていた。

(おかしいわね、
私。
夢を見ているのかしら)

夕鈴は自分のほっぺたをギュッとつねってみた。


「へ、陛下!
そ、その、…お髪は?」

「髪?…どうかした?」

「―――いえっ、なんでもありませんっ…」

夕鈴はギュッと膝元においた手を握り締め、
(冷静に、冷静になるのよ、夕鈴!)とつぶやいた。

「どうした。
わが妃は強情だな…。
―――そろそろ素直に負けを認めぬか?」

盤上の石はどうみても陛下の優勢で、夕鈴に勝ち目はなかった。
あわてて盤上をにらみつけ、何か手はないか、
もわっとする回らぬ頭で夕鈴は必死に考えた。


向い合せに座っていた陛下は
碁盤に首を突き出すようにしていた夕鈴のの耳元の髪の一房をツイっと掬い、
かるく口づけを落とした。

夕鈴はびくっと肩をすくめると、ハタと黎翔を見つめた。

まじまじと見つめ合う。
(やっぱり、髪が長いだけで、いつもの陛下みたい。


黎翔は穴が開くほど変な表情をした夕鈴に見つめられ「ん?」という表情をしながらも、相変わらず余裕の笑みを口の端に浮かべ、夕鈴の亜麻色の髪を指先で弄ぶようにしながら、口許にかるく当てている。

「愛しい妃よ―――もう眠たいのか?」

「ちがいますっ!!」
夕鈴は長髪の陛下の妖艶な瞳にみつめかえされ、ポッと頬に熱が上がるのを感じた。

(どうしちゃったのかしら、いつもよりなんだか…色っぽいというか)夕
鈴はドキドキした。

「そう…見つめられるとますます離れがたいな」
黎翔は夕鈴の髪を指先でクリクリとひねり、二回、三回と愛おし気に口許に当てる。


「へ…陛下!」

「ん?」

「な、なぜ、そんなことされるんですかっ!」

「何故―――? とは何のこと?」


「その。私の髪を…その、あの…」
罰の悪さにモジモキしながら、あれこれ考えるが、答えは出ない。

「…夕鈴の髪に、口づけること?」

「今、二人っきりで。
仲良し夫婦を演じて見せる相手もここにはおりませんのに」

黎翔は苦笑をした。

「二人っきりで…してはいけない、と?」

「今は演技する必要ないじゃないですか?
陛下」

いつもと同じ表情、同じ声。
だけど、なぜか優しくて、物憂げなその瞳に引き寄せられてしまう。

「演技する、必要―――ね」

いつもと変わらぬしぐさで夕鈴の髪の一房を指先をひとしきり愛でると、スルリと名残惜し気に離した。

「演技じゃないとしたら?」

「演技じゃないなら、なおさらおかしいですよ」


「―――何故かな…
?…
何とも説明しがたいが…。
君もやってみればわかると思う。
とても心地よいんだ」

「…!?」

「やってごらん?」

「あ、あの…」

もごもごと夕鈴は口ごもった。

黎翔の指先の感触が思いだされ、

(あれを、―――陛下に? 私が?)

想像しただけで、ボフッと湯気が上がり夕鈴の頬は一気に紅潮した。


「ほら」

陛下に腕をとられ、机の向かい側から引き寄せられるようにグイと引っ張られる。


「…あのっ!!」

「ほら。こっちに来て」

あれよあれよと、腰をとられ、膝の上に座らされてしまう。
間近でみても、やはり陛下の髪は伸びている。
長くてまっすぐな黒い艶やな髪が
白いうなじをチラリと見せて豊かに背中に波打つ。

「君もやってみたら、分かるだろう?」

黎翔の耳元の一房も、見慣れたいつものそれより長い…

夕鈴は畏れ多く触れることもできず、息をのんだ。

「指を…」
黎翔は夕鈴の手を持ち挙げると、指先を開くように反対の手で念入りに広げさせる。

「…っ」

指先をふれられた途端、夕鈴は手をひっこめたい衝動にかられた。
しかし黎翔はあくまで優しく柔らかに触れているくせに、それを許されない。

「…ほら。触れて」

密着した二人が、頬を寄せ合い、指をからめ、
夕鈴はおずおずと黎翔の髪に触れる―――

(無理無理無理ムリ、無理ですっ!!っへいかーーーー)

夕鈴の顔は真っ赤で、今にも爆発しかねない内圧を必死に堪えている様子を見て、黎翔は満足げにうっすら笑った。

「…ほら。指先で絡めると…

―――いい気持、じゃない?」

黎翔の黒髪の一房が、
するり、と夕鈴指先の中で滑った…

掌を滑る髪の、重みと弾力のある滑らかさ。

…!!!!!

あまりの感触に夕鈴は思わずくっと手を縮めた

そのとたん
「…痛っ」と黎翔の声が上がる。

「え?」

手元を見ると、夕鈴の引き込んだ指先に黎翔の黒髪が絡んで、引っ張っていた…

「…ああっ!!ごめんなさいっ!!」

ところが黎翔は厳しい低い声で

「―――許さぬ」
と発した。


「…へ?
ごめんなさい、そんなに引っ張ったつもりじゃ…」

いつもと違い、狼陛下の表情で『許さぬ』と言われた夕鈴は頭が真っ白になった。

「許さぬ。
痛かった。」

冷たい狼陛下の声に、夕鈴は茫然とし、心臓をわしづかみにされたような衝撃で胸にズキンと痛みが走る。夕鈴は一瞬にして蒼白になった。


国王様の髪を引っ張って、傷みを与えてしまった…

「お、お許しください…」

「許さぬ」

夕鈴は黎翔の膝から降りて、床に伏して謝ろうと思ったが、がっちりと腰に回された黎翔の手が、それを阻止した。

「お許しください」

「ダメだ」

「―――なんでもいたします。
どうしたらお許しいただけますか?」

「…なんでも?」

「はい」

「では。

―――もう一度。
明日、政務室で
リベンジの機会を与える」

「…は?
リベンジ?」

「相手の髪に触れ、唇を寄せると。
…何がどう心地よいのか…
何故そうしたくなるのか。

君の愛らしい唇から私に教えておくれ」

「…せっ、せっ、政務しつぅ?!!」

「…何か?」

「あのその」

「君の言う通り。
人前で見せてこその仲良し夫婦であろう?」

「それは…」

「それとも、君にはその覚悟がないのか―――?
狼陛下の花嫁という覚悟が…」

覚悟がないのか、と言われ、
プロ妃をめざし日々精進している夕鈴はカチンときた。

「いえっ!ございますよ?」


「では?」

「ええ、やってやりますとも。
見事やってお見せしましょうとも!」

「私の髪を一房すくって、君が口づけするなんて…
本当にできるの?」
急に弱気な小犬な表情にクルリと変化した。

「ええ!やってみせましょうとも!」

夕鈴は、これは夢だ、と思った。

(だって、陛下が長髪なんだもん。
言ってることがおかしいもん。
きっと夢だから。
明日には醒めているはず)

それで、夕鈴は啖呵を切った。

「政務室でっ!!
みなさんの前で
へ、陛下の髪をひと掬い。
そして口づけをしてタラシなセリフの一言でも見事言ってのけましょう!!」

と。


さて。翌日目が醒めて。
やっぱりまだ長髪陛下であることに気が付いた夕鈴。
(どうしようわたしまだ目が醒めてないみたい)と青ざめた。

やっぱりやらなきゃ、ダメ?

でもたぶんこれは夢だから。

ええい、やってやりますとも、汀夕鈴。あんた女でしょ


(***)


[日記]狼陛下の花嫁 第56話 感想(後)

ただいま、です♪

しばらくご無沙汰しすみませんでした。

いくつかのオオヤマを超えまして、
ようやく萌え世界に帰還を果たしました。


お話を作りはじめると
脳みその一部がいつも萌え萌えに支配されて
キャッシュメモリーを喰うので
今回限りは完全シャットアウト。

「萌の断食」を余儀なくされた辛いつらい…期間でございましたよ。
ソチも終わってしまったし…。くすん。
さて、これから徐々に養分を蓄え~*^―^* ウフフ。

でもまだ年度末までいくつかヤマがくるので
セーブしながらこれからも書いてゆきたいと思います。

さて。
発売日になりましたので、解禁の後半ーーーー
早売りで手に入れました、恒例のネタバレあらすじ&感想レポートの続きです。

続きを読む

検索フォーム
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
カレンダー
01 | 2014/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 -
プロフィール

おりざ

Author:おりざ
秘密の苑・刺青の男[織座舎]陛下の花園へようこそ。”狼陛下の花嫁”の二次創作作品を綴っています。足跡などお気軽に残していただければ嬉しいです。【新刊】秘密の苑・刺青の男パラレルアンソロジーパラレルアンソロジーとらさんで取扱。【お詫び】拍手コメ御礼お休み中です。本当に申し訳ありません。お返事ご希望分はコメント欄へm(_ _)m

アクセスカウンター
ただいまのご来訪数
現在の閲覧者数:
ありがとうございます
■(キリ番)カウンターでキリのよい番号に遭遇された方はお気軽にご一報ください^^

■オフ活動■ おりざの本[織座舎] 一覧 → こちら
陛下の花園へようこそ
~ご注意~
≪以下あらかじめご了承のうえ、本サイトをお楽しみください。≫

・原作者様ならびに出版社様とは一切関係ございません。
・此のブログは日々の日記並びに二次創作作品の倉庫、管理人本人の自由な自己表現の場です。
・この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などにはいっさい関係ありません。また原作と異なる設定など、表現、その他多数捏造あります。

・二次創作の場です。
・ブログ内容に関する苦情は受け付けておりません。出来る限り注意は払う意向ですが個人的表現の場という位置づけの運営上、万人に対して万全を保障するものではありません。
・読む際は各作品の冒頭の説明・ご注意等にてご判断ください。読後いかなる不都合が生じても当方はその責任を負いかねます。

・ご感想お待ちしております。

・当ブログ内の作品の著作権はブログ管理人に属し、無断コピー・無断転載は固く禁じます。
Twitter
 
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。