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SS 話しを、しよう。

お久しぶりです。
まさに立春、春めいた暖かい一日でした。皆様お元気でお過ごしでしょうか

SSというほどのものでもございませんが…。
つまらないものです。

【陛下の独白系】【リハビリ路線】
【67話の設定からのパラレル※】
※ほんのりネタバレを含みますので、コミックス派の方はご注意ください。

* * * * * * * * * *
SS 話しを、しよう。
* * * * * * * * * *

話しを、しよう。
君が許してくれるのなら。

…許してくれなかったらどうしよう?

私は、君の答えを知るのが怖い。




君と話さなきゃ、とおもって
もう何日が過ぎただろう。

何をしでかすか分からない君だから
捕まえた。

あの日、私にしがみ付いて泣きじゃくった君を
あんな思いをしてまで
手離したのは、自分だったくせに。

本当に、彼女は放っておけない――

――だから仕方がない。

突拍子もないことに平然と首を突っ込むのはしょっちゅうで
そうでなくても誰に陥れられ、危ういところへ追いやられるか分からない。

彼女はただ
まっすぐで
善良で
――何の力を持たない

ならばせめて私の目の届く安全なところで過ごさせなければ。

君を捕まえなければならないのも
私の傍に置かなければならないのも
ぜんぶ、君のせいだ


せっかく
こんな魔窟から離して
逃げ出すことができたはずなのに
――再びそんな悪夢の檻の虜にしなければならないのも。

君を捕まえて
私の傍に置くのも

君が悪いんだ、仕方がない。


私は、君に話をしなければならない

ここがどんなに恐ろしい場所なのか。
何の希望も
…一筋の光すら見出すことなどできない
地獄よりタチの悪い監獄なのか

そんなところで生まれて育ったわたしのことを

* * * * * * * * **

彼女の顔が見られない

もう十分落ち着いたと思っても
まだ時間が短かったんだろうか。

あれほどに長くて辛いと感じたのに
…まだ足りなかったのかと
今、ひどく後悔している。


話しを、しよう。

君が許してくれるのなら。

許してくれることでないと、知りながら
君をここに縛り付けたのは、私の罪

だけど

それもこれも、
ぜんぶ君のせいじゃないのか? 夕鈴。

* * * * * * * * **

このままでは話しにくいというから
念をおした
「そっちに行ってもいい?」と
極力やさしく…それは、自分の気持ちをなだめるためでもあるんだ。

今日はゆっくり話がしたい。
私のことも。
なにもかも。





「――寒いんですか?」と彼女が私を見上げた。
「え?…ああ、うん」
彼女の瞳に見つめられると、ホッとする。

ギュッと抱きしめる。
トクトクと鼓動が伝わって、あたたかいぬくもりと好い匂につつまれた。

「まだ、寒いですか?」
「うん――」
そう。
寒かったんだ。



ずっと孤独だった。
こんな場所だから――これからも一人でいいと
こんな思いをするのは私独りで十分だと、思っていた。

友も
愛も
血のつながった肉親の情愛すら
嘘と欺瞞と虚実に塗り固められ
利用され
傷つけあう道具に成り下がる。
…そんなものは、いつでも切り捨てられる対象だと
割り切っていたはずだった。

私の記憶の中に「あたたかい家庭」という概念はない
王族。血のつながりは平然と互いの命を狙う最も身近で性質の悪い因縁であり
常に細心の注意を払うべく用心の対象だ。


私の話しなんて
君は面白くもなんともないだろう

なのに、なぜ話す気になったのだろう


王宮は魔窟だ。

なのに、どうして君をまたここに連れ戻してしまったんだろう。


抱きしめた君から伝わるぬくもりが
私の言葉の背をおした

夕鈴
私は、君のぬくもりが、欲しかったんだ。


君はそのまま
私の長い長い、話を
静かに聞いてくれた。


君の表情は何一つ見えなかったけれど
小さい掌のぬくもりは
ずっと、私の背中にあって
小さく頷くたびに、優しくさすられるたびに
私の心は一つひとつ、軽くなっていった


長い長い、話を
私はつづけた。

私がどんな男なのか

君の目に入れなかったことを
耳に入れたくなかったことを
君を遠ざけた理由も

なにもかも洗いざらい話すのには

とてもとても長い時間がかかった

けれど
つかえていた心を
君のぬくもりが溶かしてくれたから

私はぜんぶ
素直に話すことができたと思う。


最後の言葉が消えて
もうどれほどの時間が流れたのか

「陛下」

小さな君の呼びかけに
此方の世界に引き戻されてはじめて
私はようやくすべての言葉を紡ぎ終わったことに気が付いた

何もかも話せば
君はきっと私から離れて行くだろう。
二度と私の手をとってはくれまいと
――わたしはそれが怖かった。

怖くて、捕えて、檻に入れ…



全てを無くすつもりだったのに

私は今、今までになく満たされていた


「陛下は
ひとりぼっちで、寒かったんですね――
でも
これからは、
私がずっとお傍にいますよ?」

「君が居てくれるというのなら
もう、寒くない」

強く彼女を抱きしめると、
彼女はおずおずと私を抱き返す。


もう
話すことは
何もない

と思ったら

「――あ、でも。
もう私、妃でもバイトでもなかったんでしたっけ!
お邪魔なら――」

と云うなり、彼女はスクッと立ち上がった。


ちょっと待った。
話し、聞いてなかったの――!?


(Fine)




凍り付いた心を
暖かい涙が溶かす
というイメージで書きはじめたのに
最後に夕鈴さんが、やらかしてしまいました。





<近況>

最近あまり書けなくてすみません。

半年以上前から、忙しいとは想定し覚悟もしていましたが
想像以上に忙しくて驚いています(笑


小説を書きためるファイルをみたら、2014年12月で止まっていました。
すみません、1か月以上空けたのは初めてかもしれません…。

水面下では、プチオンリー公式アンソロさんの原稿や、織座舎のパラレルアンソロジーや、単行本の加筆修正等も書いたりしていたので、全く書いていなかったわけではないのですけれども、それにしても酷い惨状です。

(話ついでに)ご報告です
パラレルアンソロジー、とらさんで予約が始まりました。
執筆陣17名、陛下×夕鈴のパラレルストーリー満載。いろんなシチュでお楽しみください^^
(手前味噌で恐縮ですが)まさかの夢のような企画が実現しちゃったものですから、スゴイ方がご寄稿下さって、ものすっごいですます。お気が向いたらお立ち寄りください。

実のところ、アンソロはすごい方々のお話し拝見するのに夢中で
自分の原稿は、というと…久しぶりに難産でした。(爆

公式アンソロさんの原稿はするする~っと普段通り出てきたのに
現パラのほうは2か月かかりで、珍しくかなり書きなおしました(たぶん半分以上はデュラックの海に消えました)。

当初、全く想定していなかった設定がすごい伏線になって「なるほど、そうきたか」と。期間をかけると面白く発酵するものですね~(笑)
冷静になって考えると、ギャグ路線はけっこう何度高いかもしれません。

甘いお話しを書きたいけれど
もうちょっと生活と両立するまで封印?

ではどうか皆様お元気でお過ごしくださいませ

*
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春立ちぬ

昨日に引き続き。
サーブ、いきまーす!


【微糖】【春の予感】――予感だけ? だけ。(コックリ)
【67話原作沿いパラレル※】ネタバレを含むかというとそうでもありませんが、念のためコミックス派の方はご注意ください。


* * * * * *
春立ちぬ
* * * * * *

「ゆーりん、あのね――」
こんなお顔をされるときの小犬陛下は見捨てられない。
キュンとときめいてしまう。

「――ぼく。お願いがあるんだけど」

いつのまにかさりげなくすり寄ってこられれば
つい間合いを失って、手をとられることを易々と許してしまう。

「…また、寒いんですか?」

繋がれた手を握り返す。

形の良い爪ににあわない固い皮膚。
ごつごつした陛下の手は、刀を振るう男の人のそれで、
ちょっぴり冷たい感触に、いそいで私のぬくもりを移そうと両手で包み、吐息をかけて暖める。

「…うん」
ひとしきり、私が彼の手を暖めるしぐさを
ジッと見つめながら嬉しそうに小犬はされるがままになっていた。


ふっと見上げると、ばっちりと絡んだその視線が
あんまり甘くて。

…思わず居た堪れないきもちになって、手を離した。

ちょっと困ったように眉をさげ、
今度は陛下は『おいでおいで』とばかりに私に向けて両手を広げて誘う。
「まだ寒い」
「…わたし、もうバイト妃じゃないんですよ」
「うん?」
「仲良し夫婦演技する必要なんて、ないんですよ」
「うーん…」
ちょっと強引に陛下は私を懐に招きよせ、ニコニコと笑って見せた。
私がそっと手を差し出すと、躊躇することなく彼はぎゅっと私を抱きしめる。

「…こうしてると、あったかいね」

陛下はとっても満足そうに、もう一度、私を強く抱きしめなおした。

「…ほんとに、いいんですか?」
「うん!…ゆーりんも、あったかいでしょ?」

あったかい、というより
恥ずかしくて顔が熱い。

冷酷非情の狼陛下。
でも実は子犬のような一面をもつことを
周囲にしられないために雇われた、私はバイト妃だった。

今はそのバイトも解雇され一介の下町娘の私は
元気でやりくり上手といういうこと以外、特に美人というわけでも、秀でた才能があるわけでもない。

それが
こんなふうに、また陛下いられるなんて
まるで夢みたいだった。

バイトを解雇され、私が傍に居られる理由もなくなった。
遠く旅も、した。

忘れることなんてできなかった。

ずっと、会いたかったヒト。

私なんかには、手の届かない…。


だから
もう一度だけ会って
『好き』って言って、
見事玉砕するのが
私のささやかな、たった一つの希望だった。


「ほんとに、こんなふうにしてて
いいんですか?」

「…許しが、いるの?」

彼はきょとんと眼を丸くする。

「だって、陛下は王様ですよ?
私はもう妃バイトでもなんでもない、
ただの…」
必死に言いかけたけど、
突然陛下がギュッと息がとまるほど強く抱きしめるから
思わず私は「グエッ」とカエルがつぶれたような声を喉から絞り出してしまった。

「へ、か! 苦しっ…」

「…ごめんごめん」
こっちは苦しいっていってるのにっ!
陛下は悪びれもせずアハハ、と笑うばかり。

突然ちょっと真面目な顔になって、私に問う。

「ぼくが寒くて、ゆーりんにあっためてもらうのに
許しなんているの?」

あんまり当たり前のように云うものだから
なんだか、私の方が逆に悪いことをしているような気にもなるじゃない。

「そうは参りません。
立場をわきまえないのは、許されないことです!」

正当な理由がないのに
陛下のお傍にいるわけには――

「…じゃあ。
ぼくのお願い、一つ聞いてくれる?」

ぜんぜん、陛下は私の言うことを聞いてくれない。
それどころか、会話がぜんぜんかみ合っていないように思えて
ちょっとムッとしてしまう。

なのに
私を覗き込む瞳はキラキラ輝いていて
楽しそうな彼はいたずらっ子みたいな表情をする

そのうえ、遠慮もなく私に無邪気にすり寄る。

(近い、近い、近いですっ!)

遠くから見ても怖いくらい立派だけど
近くの陛下は、
すっと通った鼻筋に、薄い唇
整った眉に、綺麗な紅い瞳を縁取る黑いまつ毛は長くて
女の私でも嫉妬してしまうほど、美人。

そんなお顔で、とろけるような笑顔を浮かべて
サラサラとした漆黒の髪が私の頬にふれるほど近づいて
低い声で囁くのだから――

私は言いたいことを言いだす隙さえなかった。

「あのね。夕鈴」
「はい」

「あの…」
「はい?」


「――えぇっと…」

急に陛下は挙動不審な様相を呈し、
視線を宙にうろうろと飛ばすから、
え、何か難しい事?と、ドキドキしてしまう。


「そんなに難しいことですか?
…だったら庶民のわたしになんか
ぜったい無理だとおもいます」

「っ! そうじゃなくて…」

「…じゃあ、どんな?」

国王陛下たってのお願いだなんて。
無理難題に違いない。
庶民の私になんか、かなえられそうな気がしない。

私はなんだか悲しくなってきて、気が重くなった。

「だから。その」

「はい…」
神妙に目を伏せた。



「その

あの。

お願いっていうのは
じゃなくて

その君さえ、良かったら…なんだけど。

君の正直な気持ちで構わないし

そう。
嫌なら
断ってもかまわないんだけど…

その。
つまり。
あの。
私の
――き さきに…なって
くれない?」

「きさき?」

彼はゴクンと息をのむともう一度
要点のみを言葉にした。

「わたしの妃になってくれる?」

「――あの。

つまり。



…また、バイト妃に戻れるって、ことですか?」


「そうじゃなくて!」
彼は苛々しながら叫んだ

ちがう?となると
「妃…バイト妃じゃない、妃?…って、妃です、か?
えーっと。その。バイトがとれた、妃?」

陛下は強引に私の両腕をつかんでゆすぶった。
「だから――お嫁さん、だってば!」

「バイト妃じゃない、お嫁さんのバイトって?
なんだか…難しそうですね。

…なんというか。
バイト妃レベルだって、極めるが難しかったのに…」

いったい、私は何をしたらいいんですか
お料理? もっときれいに着飾るの?
それとも…とブツブツ見当をつけていると


「――ああ、もう!!」

じれったそうに彼は叫んだ。

「だから。
わたしの、たった一人の妃、だって――」

もう!!と私の正面を見据えると

「ぼくのこと、嫌い?」と真剣な目で私を見つめた。


「きっ、嫌いなわけっ…

だって私。

陛下に好きって言って
玉砕するんだって――!? …っ!」


その日。


春の風が私を包んで、
遠くの空に、さらっていった。




*

SS あわせ鏡の向こう側。

昨日は悩乱して興奮のままいろいろ書いてしまったけど
こっ恥かしかったので下げました(笑


そんなこんなで元気です。

ひさしぶりに、管理画面に入ると
パスワードを聞かれるのが新鮮。←






【陛下独白】 ストーリーも何もない他愛もないのをおひとつ。

※ほんのりネタバレ?なのか、そうでもないのか?
とりあえずコミックス派の方はご注意ください。



* * * * * * * * * * * * * * * * *
SS あわせ鏡の向こう側。
* * * * * * * * * * * * * * * * *



夕鈴。
君は自由だ。

夕鈴。
君は不思議だ。

夕鈴、
ぼくをいつも驚かせる。


檻の中に縛り付けたい訳じゃないから
ぼくは君を手放した。

あんなに切羽詰まって
あんなに苦しい思いをして…

…なのに
君はぼくの気持なんかお構いなしだ。


君はいつもぼくの想定外なところから降って湧いて
まるで、君の方から突進してきたように見えた。


『狼陛下は、嫌われ者』

『王宮は、牢獄』



馬鹿だ。

なぜ君は
あえてそんなところに舞い戻る?



「陛下と一緒にいたい!」

夕鈴、
君はいつもぼくを驚かせる。

縛る、なにもかも
いつもやすやすと突破して

ぼくの苦労なんかお構いなしに

君は
いつもまっすぐで
いつも真剣で

君の言葉は
あっけないほど簡単に
ぼくの心の檻を壊す。


…なんだか
すごい、破壊力だ

君の言葉。

君の行動力。

君の持つ生命力のすべて。

闇を払い、壁を打ち砕く
太くて逞しいエネルギーに満ちていて


あれほど頭を悩ませたあれやこれやなんて
あっけにとられるほど、
大したことではなくなってしまったじゃないか!


強くて真っ直ぐな光に照らされて
ぼくははじめて、見えたものがある。


「陛下のお役にたちたいんです!」

君の真っ直ぐな眼差しがあるから
ぼくは救われる。

ぼくは決意する。
ぼくの手で、君を守る。


でもそれは
――”囚われて、可愛そう”だとか
そんなんじゃなかったんだ。


囚われていたのは
君ではなくて
ぼくの方だったんだね。


君の目と
ぼくの目

映すのは景色じゃなくて、光だ。

君は私の心に光を投げる。



夕鈴。
君は何にも縛られない
自由なひと。


ぼくは君を見つめ
君はぼくを見つめる。


あわせ鏡のようにそこに居て
映しあい結ぶ像のその先が見てみたい。

泣いても、笑っても

ぼくの光は君に。

君の光は、ぼくに。

ずっと、共に。



(おしまい)


*

前門の狼

総毛立つほど緊張を強いられる時期をようやく通り抜け
すこーし平常に近づいてきました。

ちょっとほっとして
昨晩はぐっすり眠りました。

まだプチのお宝、手つかずなので
これからゆーっくり…と夢想してるだけでも楽しい。

5月3日のスパコミ(黄昏博物館さんと合同サークル)あわせに
久しぶりに薄い書下ろしでも…と(気持ちだけはある)。
印刷所さんの方で確認してみたら
早期割引は3月末とか4月上旬とか――。

表紙絵も中身の構想も何もないのでこれは無茶。
早期は諦めて通常でよろしい
「参加することに意義がある」路線でのほほんとスケジュール組みます。



ところで、よく
「歌をつくるときは歌詞が先? メロディが先?」みたいにありますけど
創作に関しては、みなさんそれぞれにお作法がありますよね。

SSなら「ストーリーが先? シーン先行?」とか
お絵かきなら「眼から描く? 輪郭線から描く?」とか
紙媒体の本だと「表紙が先? 中味が先?」とか…


某サークルさんは絵師様と書き手様が別で、
この間は表紙が先だったみたいなので
すごく新鮮な気持ちで制作の気配を肌で感じて(直接見てたわけでもないけど、それがまたチラリズムで…)楽しませていただいたりしました。

(さりげなく絵師様募集。← )

さて
ちなみに、私のSSの場合は
ストーリーのアウトラインが大まかに浮かんでから書く時もあるし
ある一シーンが先の時もあるし
先に筋書きを仕上げて後から肉づけ(修飾やシーンや会話の挿入)するときもあるし
時には行き当たりばったりで書いてるときもあれば
かなりガッチガチに先が見えてて出力に専念する時もあります。
――こうしてみると、その場その場でのノリみたいです。


お絵かきは
頬からあごにかけての輪郭、(目、眉、鼻*)、口、前髪、耳、髪の毛…の順? *の辺りは絵によって順不同だったり…じゃないかなあ、です。あれ、でも。アンパンマンの場合は、
顔の輪郭、鼻、ほっぺの輪郭、口、目、眉…だわ?!

…まあ大概どうでもよいです。

みなさんは、お絵かきするとき
どんな順番で描きますか?


そうそう。
数名の方からお尋ねがありました
カボチャの話。
そのうち書きますね。
あれは最後まで書きたいです。

お話のアウトラインは頭の中のどっか隅っこに居たので、完結を私も見たい。
ただ、それをいぶり出して狩るためには
カボチャの妄想で頭を一杯いっぱい、ヒタヒタまで満たしてやらないといけません。
また時が来たら、もう一回、最初っから読み直してきます←


まだしばらく調子でないかもしれませんけど
筆を持つリハビリ期間で
ときどき書くように頑張ります(笑



【陛下の気分ねつ造】【微糖】【ネタバレ注意※】
2015年LaLa5月号 第69話のネタバを含みますので
コミックス派の方はご注意下さい。

* * * * * * * *
前門の狼
* * * * * * * *

壁についた手に匿われ
黎翔の身体と壁の間に彼女は居た。

趙弼『評史』に曰く「前門の虎後門の狼」のごとき様相を呈し
夕鈴は壁に背後の退路を断たれ、長身の狼王に前門を塞がれていた。

上空から端正な王の顔が覆いかぶさる。
狭い過密な空間は圧縮したように熱気が高まるばかり。

黎翔は彼女の見開いた瞳を覗きこみ
うっとりと笑いを浮かべた。

紡がれるのは甘い甘い言葉。
耳元でささやかれ、夕鈴はクラクラとパニックに陥った。

「陛下っ! お仕事途中でしょ?
早くお戻りください!」

必至で追い詰められた兎は、狼の身体を押し戻す。

「これほど君と離れがたいと思っているのに…」
切ない声を聴けば、グラグラと理性を揺すぶられるばかり。

「――君は私と同じようには思ってくれていないのか?」

そんなわけ…
そんなわけ、ないでしょ!?

でも
立場とか対面とか
お仕事とかちゃんと果たしてこその――

真面目な彼女にすれば、
プライベートと仕事はきっちり切り離したい事柄。

ところが王様ときたら
生活のすべてが王様で
どこからが仕事でどこからがプライベートなのか
彼にそんな選択肢はなかった。

だから彼は
妃を愛することだってきっちりと『お仕事』なのだ。

だが、愛しい妃が一杯いっぱいで困惑するその様子を十分楽しめば
まだまだ引いて、そんな時をいとおしみたいという気にもなる。


ようやく手に入れた臨界的な存在…彼女は自分にとって特別な存在だから

身体的に生じる原始的な欲などで
せっかく彼女がみせてくれる、私への愛情表現の…これら連続的なプロセスを一つ一つ楽しむチャンスを失いたくもない。


そう思いながらも一方で

私への嘘偽りない愛を
晴れて口にできることに戸惑い恥じらう君が可愛らしすぎて
ついつい我慢の限界も超えてしまう時だってある。

君を捕まえて
口づける。

「…これくらいは許してくれ」

真っ赤になって君は呆然と私を見つめる。

うん。

頑張って、行ってくる。

君が居るから、頑張れる。

行ってくる
愛しの君、君が待っていてくれるから。

笑って後にする。


* * * *


その日の李順の説教は長くて
あれは、実にめんどくさかった。

結局その後たいした時間は残されていなかった。

私は彼女を抱きしめようとして
断られ
また仕事へと送り出されそうになって、少し慌てた。

「…ダメなの?」
と聞くと

「きゅ、急にそんなされても
ふわっふわで
私。心の準備ができないから
どうしたらいいのか…」

「へ?」

「だから。急にチュッとか――」

「僕がチュってしたら、嫌?」

夕鈴は慌ててブンブンと首を振った
「い、嫌じゃ――」

「じゃ、してもいい?」

「あっ、あのっ…!!」

彼女がしがみつくので、
抱きしめた。

そうしたら、あわあわと
真っ赤になった彼女は私の胸を押し返した。

「そ、その…っ!
ごめんなさいっ!
急に抱きついて――」

バクバクと心臓を高鳴らせる彼女が可愛すぎて
ぎゅうぎゅう抱きしめた。

「陛下…
私、陛下が好きすぎて
幸せすぎて
どうしたらいいか、分かりません!」

泣きそうになって彼女がこぼすから
私は涙が出そうなくらい笑った。

「夕鈴。
それって
ぎゅむーってするのと
チュってするの
どっちが先がいい?って
相談されてるってこと?」



やりすぎないけど

それはそれ。
これはこれ。


*

SS春の便り

お元気ですか?
久しぶりに朝ゆっくり寝て、久しぶりに夢を見ました。
案外スペクタクルな夢でした(笑





<業務連絡> ご不要な方は飛ばして下さい。
---------------------------
・とらさんのお取り寄せ販売(てすさびの)は明日3/31締切です。5月のスパコミにも若干、持ち込み予定。

・3月新刊の「秘密の苑・刺青の男」は残部あと少々。5月のスパコミ分はありませんので売り切れ御免です。




【69話ネタバレ妄想?】【他愛ないSS】
政務室と廊下。黎翔と名もなき官吏と浩大。
69話の設定を含みますので、念のためネタバレ表記。コミックス派の方はお気を付けてくださいませ。


* * * * * *
春の便り
* * * * * *


――春が来た。


政務室、といえば

年中冬の極北の地のごとく
常にブリザードが吹き荒れていたものだった。

とくに今年の冬はことのほか厳しく、
寒気の超大型低気圧が居座っていた。

「春も近いというのにこの寒さ。
政務室に配属された者は、特別に厚手の綿入りの胴衣を支給しないといけませんね。
…ったく、このモノ入りの時期に。
ですが、有能な者たちばかり。体を壊されてもいけませんし、流行り風邪をこじらせたら大変ですし」
李順がブツブツとそろばんをはじきながら算段をし、その予算を陛下に奏上していたのはつい先日だ。


その政務室に、――春!

* * * * * *


狼陛下の眼前に、重要な案件の文書を広げプレゼンをする若い官吏。

昨日までの勤務経験上、さんざん身に染みている。
裁定をくだされるこの世の終わりの審判のように、
この恐ろしさは何度経験しても慣れない。


端的に、簡潔に。
時間のない陛下の午前で、単語一つも吟味し、早すぎず、遅すぎず、
かまず、通る声で。人品、態度、物腰――総合的なプレゼン能力を試されるのだから、それは大変に緊張を強いられた。

「…フム、それで良かろう」


(え?いいんですか?)

あっさりと書類が通った官吏は、むしろあっけにとられ、どうしてよいのか分からずモジモジした。
以前なら決して妥協は見せず、必ず改善点の一つや二つは…

「――だが、この点とこの点には改善を…
…別の視点で方法を考えて見ろ」

(…来た!!)
涙がチョチョぎれる。

(そうだよな、そんなわけないよな
喜ばせて、突き落とされる、それが人生だよな…)

狼陛下は妥協はしない。
だがしかし、覇気に満ち鋭く明朗でありながら、いつになく優しく感じるのはなぜだろう。

思いもよらぬ角度からの賢作のアイデアまでスラスラと口にする。

(さっと目を通しただけで、どうしてそこまで!?)
――全く。舌を巻く。なんという賢君だろう。
改めて陛下の偉大さを知る若い官吏であった。

「――はっ! では直ちに見直してお目にかけます!!」

「再提出の期限は、明日で良い」


(…え?)

いつもなら「即刻」>「後で」>「遅くとも今日中だ」では――?

「ここまでまとめるにはさぞ苦労だったろう。お前の才能は高く買っている。少し休み、その上で明日までにさらに良くしてまいれ。時に休養は必要だ」


(…なんという
政務室に、春が…!!)

その瞬間、彼の脳内で白陽国に花の訪れを告げる花が咲いた。


* * * * * *

昨日までの重苦しい雰囲気はどこへやら。

国王の決済スピードはいつも以上にキレっ切れで速かった。

だが結果的に適度な休養を挟めるようになり、
官吏の勤務環境は大幅に改善し、作業効率もアップした。

いつものようにうず高くつまれた山のような案件をスラスラと滞りなく片づけ、
「今日はずいぶんと捗ったな。では少し私も休む」
と席を立つ陛下を、臣下たちは恭しく見送った。


今日の分の仕事は片づけた。
この後は自由時間だ――李順も文句は言うまい。

回廊を渡る足取りも軽い。

突然屋根からヒソと声が降ってわく。

「…陛下。なにニヤケてんの?」

「浩大か? ――何だ」
馬鹿を言え、ニヤケてなどおらん!
少々憤慨しつつも、ここで顔に出しては相手の思うつぼ
イジられるだけだ。


「お妃ちゃんが、檻中は殺風景だから、何か花の一輪でも活けられたらって呟いてたナ」


「…」

黎翔は耳に入ったそぶりも見せず、知らんふりで歩速を変えず回廊を歩き続けた。

だが、角を曲がるとき目に入った花群に欄干から手を伸ばし、一番大きく華やかに咲き誇る一輪を手折り袖に入れた。


「ヘーカ。顔がゆるんでタガが外れてるぞ」

「煩い!」

左袖から手刀が飛ぶ。

浩大はヒョイと交わしながら
「…あ、お妃ちゃん!」と小さく叫んだ。

黎翔は思わず満面の笑顔で振りむいてしまった。


「――なわけ、ないじゃん!
自分であんな檻に閉じ込めて、さ」


「…ば、馬鹿者っ!」


ちょっぴり動揺して歩幅が大きくなった黎翔を
クスクスと見送る隠密であった。



「春の便り、か――。
お妃ちゃん、よろこぶだろーなー」




(終わり)


*

SS 建国記念のお祝い

今週のあれやこれやをのりきれば、
ほぼ日常が戻って…と思えば
ゴールデンウィークさんがどーんと横たわっております。

思えば、例年一息つけるのがこの時期で
読み専で静かに余生を送っていたのに
ちょっと暇ができた手すさびに
長いブランクを経て再び書きはじめちゃったが2年前のゴールデンウィーク前後でした

当時としては
書きたいお話を書き終わったら再び眠るんだろうなと思ってました。
流れ流れて今も首の皮一枚で残留している日々でございます

4月22日は某SNSの建国記念日。
狼陛下の花嫁という作品が大好きなひとたちの憩いの場をつくってくださった管理人さんと、そのおかげで出会えることができた皆様とのご縁に感謝を込めて。

某国某コミュ(本日までお祭り開催中)に、なんとか今日中に投稿せねば、と書いた作品をこちらにも連れてきました。

たあいのないお話ですが
宜しければどうぞ。


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建国記念のお祝い
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【両想い・ご成婚未満】


「今日は記念日ですね!」

目の前の愛しい妃が、キラキラした眼で私を見上げた。

「…記念日?」

(しまった!! まったく失念していたっ!!)

今日は何の…いったい、なんの記念日だと?

彼女と出会った日? 
いや、今日はバイト開始の日、じゃない。

初めて口づけをしたのは…?
あれは、『事故チューだからノーカンです!』と激しく否定されたっけ…じゃあ記念日にするようなものとは、違う。

じゃあ、手を握った日?
正直、最初から握りまくっていてわからん。

違う、もっと何か
彼女が喜ぶものだ。

では、――離宮に連れて行った
温泉記念日?

いや、そもそも季節が全く違うし

他に何か記念日になるような…
記念、記念…

――どうしよう、全く分からん。
私な何か大事な日を忘れていたのかもしれない。

「あー…
えっと、ゆーりん。今日ってなんのお祝いだっけ?」


「…やです、陛下ったら。忘れていらしたんですかっ?
ほんとに、こんなに大事な日をっ!!!」

なじるような口調に、ジトっとした目線。


「…あははは、ゴメン。ちょっと忙しくって。
普段スケジュールとか、李順任せだから。
日付感覚が飛んじゃったみたい」

小犬になって、彼女の背後から、スリスリとすり寄る。

腕の中にすっぽり納まった夕鈴は、くるりと私の方に向き直った。

「陛下っ! ダメじゃないですカッ!!
こんな大事な日を忘れるなんて――」

「ごめんっ!!」

説教を甘んじて受ける。
ショボーンと耳が垂れるばかりだ…

「ほんっっとに、ごめんっ!!!」
ぎゅむっと彼女を抱きしめた。

何かの記念日をたとえ忘れていたとしても、
一番大事なのは、彼女なのであって
とにかく彼女が大事なんだと、伝わればよい。
抱きしめて、裁きを待つ…


「…もう」
夕鈴は呆れたように小さなため息をつくと

背伸びをして、うなだれた私の頬に唇をよせ
チュッと小さく。
「建国記念日、です。
陛下。あなたの国が、出来た日、ですよ――。」

「…え?」

「陛下がこの国の王様で
この国を良くしてくれて
いつもありがとうございます…って
お礼を言いたかったんです!」


「…なんだ…!」
思わず腰が砕けそうだった。

普段夕鈴から積極的に愛情表現を形にしてくれることは少なく、
ましてや口づけなど――

「私がこの国のために頑張れるのは
――君がいるから、だが?」

「もうっ!」

夕鈴はぷっと頬を膨らませると
「そーゆー甘い狼陛下っぽいことは、今はいいですってば!
私、正直に自分の気持ちをあらわしたのに、
なんだか茶化されたような気がするじゃないですか」
とちょっぴり怒ったような口調で言い返した。

「――」

怒った彼女も可愛くて
私は思わず真顔になって、思わずゆっくりした低い声になっていた。

「では。
私の本音をそのまま言ってよいのか?」

狼陛下になった私に、少しビクリと緊張が走った夕鈴。
気丈にも挑むようにこたえた。

「どーぞ! ぞんぶんに!」

私はゆっくり彼女を引き寄せると、静かに話した。

「国は、人がいてこそ、国になる。
ここには君がいるから
私にとって
とても大切な国と成ったんだ――。

だから、
建国記念日を言祝ぐというのなら
君と一緒に居られることをまずは祝いたい」

もう、
彼女の返事を待つつもりはなかった。

ゆっくりと顎をとり、
私は彼女に口づけた。

(終わり)



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